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インタビュー

JASON FALKNER 『All Quiet On The Noise Floor』 NOISE McCARTNEY



  昨年の〈フジロック〉ではくるりと共演した自身のパフォーマンスに加え、盟友ロジャー・マニングJrのステージにも飛び入り。名曲“That Is Why”をリハーサルなしでセッションするというミラクルを起こしてくれたジェイソン・フォークナー。二人が在籍したジェリーフィッシュは90年代パワー・ポップの金字塔を打ち立てているだけに、ソロに転向後も同バンドとの比較はなかなか避けられない宿命にあるわけだが……約2年半ぶりに到着した新作『All Quiet On The Noise Floor』はどうだ。ビートルズ直系の美しいメロディーと多様なポップセンス、そしてユニークな軌道を描くコード進行と煌めくギター・サウンドがカラフルに咲き乱れる、完全無欠のパワー・ポップ・アルバムがここにある。

 リリースまで8年かかった3作目『I'm OK...You're OK』は、インタヴュー中にあるように〈音楽ビジネスに打ちひしがれていた〉という自身の心情がそのまま反映されたかのような落ち着いたトーンが印象的な佳作だったが、今作はそんな逡巡があったことなど微塵も感じさせない弾けぶり。光の乱反射を浴びているような錯覚に陥るエネルギッシュ&ロマンティックな王道パワー・ポップ“Princessa”による幕開けからオーヴァーダブによる壮大なコーラスワークが大きな感動を呼ぶインストゥルメンタル“Y.E.S”で迎えるフィナーレまで、作品全体がオープンな空気で満たされている。どの曲も心浮き立つポピュラリティーに溢れていながら、マニアックな趣向も随所に散りばめられているという彼らしさも健在だ。

 偶然にも来週発売となるビートルズのリマスター盤を買おうという人は、14作に渡る彼らの音楽的手法を独自の解釈で更新し続けるジェイソンのアルバムをぜひ手に取ってみるべき。その最新ヴァージョンとなるこの作品は、すべてのポップ・ミュージック・フリークに聴いてほしい大傑作である。

カテゴリ : .com FLASH!

掲載: 2009年09月02日 19:00

更新: 2009年09月02日 19:44

文/土田 真弓

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