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インタビュー

Indus & Rocks(2)

即興演奏を採り入れることによって、一種の瞑想状態になれる

――最初からインストが多かったんですか。

黒澤「いや、いまよりも歌が多くて、インスト・パートが少なかったんですよ。でも、ずっとモヤモヤしてたんですね。〈バンドってこんなものなのか?〉っていう。お客さんの反応を見てるとわかるし、どこかに〈これじゃないな〉っていう漠然とした思いがあって。具体的なイメージはなかったけど、このバンドにしか出せないエネルギーがあるような気がしてたし、とにかく〈これじゃない、もっと自分たちにしかできないものがある〉と」

――そのなかでだんだん歌のパートが減っていったっていう感じですか。

黒澤「そうですね。気付いたらギター・ソロがどんどん長くなってきて、いつの間にかこうなってました(笑)。ギター・ソロってなかなか終われないんですよ。気持ち良かったらどこまでも弾き続けちゃうし、気持ち良くなかったら気持ち良くなるために弾き続けちゃう(笑)。でも、そのなかで見えてきた景色があって、そこまで常に到達したくなってきちゃったんです。そうなると、30分なら30分っていう決まったライヴの時間のなかで、インスト・パートの比率が多くなってきちゃった。あと、昔は音作りについてもあんまりわかってなかったから、歌っててもあんまり気持ち良くなかったんですよ。その頃は〈もしかしたら、俺は歌が苦手なのかな?〉なんて思ってたんですけど、最近になって音の作り方とか歌い方のコツも掴めてきて。本当はもっと歌いたいし、次に作るアルバムではもっと歌いたいとも思ってるんですけどね」

――歌+バックという通常のスタイルではなくて、インストを中心にしながら3人で音を出し合うところに〈バンドをやってる実感〉があったということ?

黒澤「確かにそれはあったかも。曲の構成を最初から最後まで決めず、なおかつ即興演奏を採り入れることによって、音を出しながらも意識が別のところにいけるというか、一種の瞑想状態になれるんです。それまでは決まった曲を演奏してただけだったんですけど、そっちのおもしろさを知っちゃった」

太田「そのほうが楽しいんですよ」

黒澤「ただ、たまに決まった曲をキッチリ演奏すると、それはそれでおもしろいんですけど。いまはそのバランスを探ってる感じですね。完全に即興だけになっちゃうと、人に聴かせるものにならないと思うし……僕たちの場合はね」

――ライヴの構成はどの程度決めてるんですか。

黒澤「曲順を決める場合もあるし、決めておいて崩しちゃうこともあるし。俺が曲の変わり目で合図を出すんですよ。フレーズを合図にしてることもありますし、たまに合図もしてないのに3人の息が合うこともあるんですけど」

――基本的には次郎くんが合図を出す係だと。

黒澤「完全にそうですね」

岩野「指揮者みたいな感じですね。こっちは〈あ、はい〉ってついていく感じで(笑)」

――ライヴだと曲がどんどん変わっていくじゃないですか。曲の変わり目がわからない時もあって、そのへんはちょっとDJっぽいなと思ったんですよ。

黒澤「意識はしてないんですけど、もしかしたらどこかのDJに刺激を受けて、それが無意識のうちに出てきちゃってるのかも。確かに(演奏を)やりながら、全体の流れは意識してますけどね。聴き手の立場から〈ここでこういうフレーズがきたら気持ちいいのにな〉っていうところがあるじゃないですか。そこはうまくハマるように意識してますね。だいたい、そういう感覚ってみんな共有してるものだと思うし」

カテゴリ : ニューフェイズ

掲載: 2009年10月07日 18:00

文/大石 始