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インタビュー

FACT(4)

瞼を閉じた一瞬で世界が変わる

――今回、アルバム・リリース前に出されたトレーラー映像でも〈脱・能面〉が意識的に盛り込まれていましたが、そもそもなぜ能面をかぶり、いまのタイミングで脱ごうと思ったのかをお訊きしたくて。

Kazuki「能面をかぶった経緯はホントに単純な話で。入り口をひとつでも多く作りたかっただけですね」

Takahiro「音楽からすんなりと聴いて、ハマってくれたらそれはそれでいいんですけど、なかなかそうはいかないじゃないですか? 聴いてくれれば良さをわかってもらえる自信はあったので、だったらキャッチーな要素を作って興味を引こうと(笑)」

Kazuki「見た目から音楽に入ってもらうのも、俺らは良いと思っているんです。きっかけはなんであれ、最終的に音楽に感動してもらえれば。だから、能面自体には〈海外でウケる〉ということ以外にはまったく意味がないんですけど(苦笑)、こうやって〈脱・能面〉とか扱ってもらうこと自体、すでにキャッチーじゃないですか。俺らとしては〈釣れた!〉みたいな感覚ですよね(一同笑)。だから、あくまでもただの入り口のひとつだと思っておいてほしいですね」

――では、能面を外したのは?

Tomohiro「能面には、いろいろと助けてもらったんですよ。そこに注目して、聴いてくれた人も実際にいたので。でも、もう十分すぎるくらい働いてもらったので、もうそろそろいいだろうと」

Kazuki「そろそろ、〈お疲れさまでした〉ということで」

――ただ、“slip of the lip”のPVでは依然として顔が見えないような演出がされていますよね。

Takahiro「そこは、新しい入り口みたいなものですよ。だって、動画でも画像でも、もちろんライヴでも、僕たちの顔を見ようと思えばいくらでも見られますからね(笑)」

Kazuki「気になる存在で居続けようという、その一環ですね(笑)。それはPVも同じなんですよ。今回もかなり派手な映像を撮りましたけど、あの映像に惹かれて音楽を聴いてくれる人を増やすために、時間とお金をかけてPVを撮っているので」


――FACTがキャッチーさをどれだけ尊重しているのかがよくわかります。

Kazuki「だから、アルバムの1曲目はかなり悩みますね。導入が上手くいかなければすべて上手くいかない、という思いも持っていますから」

――歌詞の面では、前作『FACT』は〈戦い〉がテーマとなっていましたが、今回のテーマは?

Hiro(ヴォーカル)「正直、リリックに関しては前回ほどコンセプチュアルなものはないかもしれませんね。でも、すごく素直に、レコーディング期間中に起きた出来事とか、経験とか、その時に感じたこととかが、歌詞に採り込まれていると思います。アルバム・タイトルの『In the blink of an eye』って、〈瞼を閉じた一瞬の間に世界が変わってしまう〉という意味なのですが、この言葉がすべてを表していますね」

――確かに、それを体感した2009年だったわけで。

Hiro「そうなんですよ。人生って、本当に一瞬のうちに変わってしまうことがあるんだなって。1曲目も、事故った時のことを歌詞にしているんです。〈一瞬にして目の前が一変する〉ということを踏まえてこの歌詞を読んでもらうと、アルバム全体の内容も理解してもらえるんじゃないかな?って。アルバム・タイトルから歌詞を紐解いてもらえば、意味はおのずと伝わってくれると思っています」

――では最後になりますが、2010年はFACTにとってどんな1年にしたいですか?

Takahiro「まずはツアーを成功させること。それは絶対条件ですよね」

Kazuki「しばらく日本ではツアーをしていなかったので、きっと、状況がだいぶ変わっていると思うんですよ。だからすごく楽しみなんです」

――かなり気が早い質問ですが、では、FACTの音楽は今後どのように変化していくとお考えですか?

Eiji「まったく読めないですね(苦笑)」

Tomohiro「次回作に取り掛かってみるまでは、たぶん何も見えてこない気がしています。もしかしたらよりエレクトロ化しているかもしれないし、次回はまったくそういう要素が入ってないかもしれないし。でも、自分たち自身がすごく飽きっぽい性格をしているので、より複雑になっている気がします。その次は、シンプルな音を求めていくのかな……?」

Kazuki「とにかく、ついてきてほしいですね。絶対に悪いようにはしないので(笑)」

カテゴリ : .com FLASH!

掲載: 2010年01月13日 18:00

更新: 2010年01月13日 18:40

文/冨田 明宏