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インタビュー

9/13 intoxicate presents TENORI-ON Special Event 出演アーティストインタヴュー──d.v.d、dot i/o(a.k.a. mito from clammbon) 、Rubyorla

テノリオンの可能性を広げるような提案を!

2台のドラムス奏者と映像担当の3人をメンバーとする、異色のオーディオ・ヴィジュアル・グループ、d.v.d。ドラムスの演奏と映像プログラムとのインタラクションは、音と同期する映像という方法論だけではなく、さらにそこから生み出される偶発的な出来事に影響されることによって、よりダイナミックに展開する。それは、これまでの音楽と映像とが、どちらかに従属した形で成立するような関係性を、ライヴという場に特化した形で一歩進めたものと言えるかもしれない。

《TENORI-ON(テノリオン)》は、アーティストの岩井俊雄がヤマハと共同開発した、16×16に配置された256個のLEDボタンを操作することで作曲、演奏することが可能な電子楽器である。それは、楽譜の読み書きといった音楽的素養がなくとも、絵を描くようにグラフィカルに音楽を演奏するためのシステムとして、オルゴールに想を得て考案されたものである。

この「映像が音楽を演奏する」、「音楽が映像を演奏する」、といった性質を持つd.v.dと《TENORI-ON》の出会いは、《TENORI-ON》発売当時にまで遡る。西日本ツアー中に、「福岡のオーガナイザーが店頭で《TENORI-ON》を展示していて、コラボしてみませんかという話になって、ヤマハさんと話を通してくれて、一台貸してもらえることになった」(イトケン)のだという。以来、彼らのライヴのシステムに組み込まれ、常に使用され続けている。現在では《TENORI-ON》のための曲も3曲ほどレパートリーに含まれている。ライヴでの操作はおもに映像担当の山口崇司が行なっているというように、d.v.dのアンサンブルの中では、音楽として中に取り込むことでではなく、映像として情報が出力できるならば使おうというスタンスで、作曲や演奏のツールとしてではなく、おもに映像の生成に使用されている。山口は「僕はミュージシャンではないので、ノン・ミュージシャンでも音楽的に参加できるっていう部分で便利なものである」とし、それがd.v.dにも合っていると言う。

実際の使用例としては、ドラムで《TENORI-ON》の任意の音を鳴らすのではなく「《TENORI-ON》の信号から映像の中で《TENORI-ON》と同じようにドットが画面に描かれ、ドラムを叩くとそれが消えるというもの」などがあるそうだ。また、「ドラムを叩くっていうことと同じことを、光っていることによって反映させたりできたら面白い」(Jimanica)。「《TENORI-ON》ではひとつのレイヤーしか見えないけど、映像では3次元のレイヤーになって表示されて、全部見える」(山口)といった、《TENORI-ON》自体の機能を拡張するような使用法、たとえば、映像のトリガーとしても機能するようなことや、操作画面のディスプレイの表示機能を拡張するようなことが提案されていけば、その可能性は広がっていくだろう。

カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2010年09月10日 11:44

更新: 2010年09月10日 12:11

interview & text : 畠中実(ICC学芸員)

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