9/13 intoxicate presents TENORI-ON Special Event 出演アーティストインタヴュー3──Rubyorla
宿敵の天才テノリオン少女に負けないように
近年はテノリオン演奏家としても評価の高い京都の電子音楽家RUBYORLA(ルビオラ)。この度、テノリオンによるポップできらびやかなソロアルバム『16×16(イロ×イロ(色 描ける 色))』が完成した。明滅する16×16=256のボタンによって描かれた架空のサウンドトラック集。テノリオンを熟知した彼ならではのユーモアとセンチメンタルが交錯する、80年代〜90年代テクノへのオマージュを忍ばせる作品となっている。
「岩井(俊雄)さんがテノリオンを開発する際に〈16x16〉という数字にこだわった、という話をお聞きしました。コンセプトはそのままに、どれだけ「16x16(色々)」な音が作れるか?ということで制作しました。16曲の頭文字を繋げると「R.U.B.Y.O.R.L.A. T.E.N.O.R.I.O.N」なるようにしたり(笑)」
彼がリーダーを務める男女8人からなるユニット、Harp On Mouth Sextetの最新作『襲乃音色』も同時にリリースされた。プリミティヴなパーカションによる即興土着的グルーヴと90年代中期のBlack Dogやケン・イシイを思い起こすようなアブストラクトなブレイクビーツとの呼応。数々の改造ハーモニカが雅楽で使用される笙の如くドラッギーなドローンを燻りだし、野外でのトランス感をさらに扇動する。非常にユニークな電子音楽ミーツ雅楽の最新系だ。また白装束を纏い、三角帽から垂れたベールが顔を覆い隠している出立ちと発光するテノリオンなどヴィジュアル面を含むパフォーマンスにより、参加したFUJI ROCKフェスティバルや渚音楽祭にて大きな話題をさらった。彼によればHarp On Mouth Sextetはテノリオンを雅楽っぽいスケール(音階)にして、ソロでは「真逆のヨーロピア〜ン(笑)」な曲調にしているとのこと。確かに後者ではジャーマン・テクノ・ポップの影響も顕著だ。「自分にとってテノリオンを演奏することはギタリストと同じ感覚かも。初めて人前で演奏できた楽器という感じで。ロック好きがギターを愛するように、テクノ好きがテノリオンを愛しちゃったという(笑)」
ラップトップによるライヴが「メールをチェックしているだけ」と揶揄されるように電子音楽は、楽器を「演奏している」感覚がダイレクトには伝わりづらい。しかしテノリオンが奏でる光と音の鮮やかな化学反応は、網膜と鼓膜に眩い刺激をもたらす。作り手も受け手も〈体感〉する電子楽器テノリオン。達人RUBYORLAのライヴにてそれを充分実感することができるだろう。
「ひょっとしたら、もともとお父さんお母さんが買ったテノリオンを超絶的に弾きこなす天才少女現わる!(天才エレクトーン少女みたいに)っていうニュースを朝のワイドショーで近い将来観るかも知れません(笑)今後テノリオンをどう活用していくかは僕自身もまだわからないですが、宿敵の天才テノリオン少女に負けないようにどんどんスキルを上げたいと思います!(笑)」