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インタビュー

南波志帆『水色ジェネレーション』

 

着実に大人の階段を昇っているけれど、まだ18歳。子供でもないけど大人でもない〈こどな〉のいまだからこそ出せる色がある。輝く水色ポップスをお楽しみあれ!

 

南波志帆_A

 

クリエイターにとって、彼女はきわめて魅力的な〈素材〉なのだと思う。南波志帆による初めてのフル・アルバム『水色ジェネレーション』は、CDデビュー時からのプロデューサー・矢野博康を中心にYUKIや堀込泰行(キリンジ)、山口一郎(サカナクション)、小出祐介(Base Ball Bear)、コトリンゴ、土岐麻子、おおはた雄一、奥田健介(NONA REEVES)などが楽曲/詞を提供。南波の魅惑のヴォーカリゼーション——10代特有のピュアネスと、とても10代とは思えないほどの表現がひとつになった——が堪能できる高水準のポップス・アルバムに仕上がった。「15歳のときにCDデビューして、自分も少しずつ成長してきて。このアルバムには、18歳になったいまだからこそ歌える楽曲が詰まっていると思います」と言う彼女。そのことをもっともストレートに反映しているのが、アルバムの表題曲“水色ジェネレーション”(作詞/作曲・宮川弾)だろう。

「水色は白と青が混ざっているじゃないですか。白はまだ何も描かれてない、真っ白な未来。青は大人になっていくことへの不安や戸惑いのイメージなんですよね、私のなかで。そのふたつの気持ちが同じくらいあって、バランスを保ちながら混ざり合ってる状態なので、いまの自分はホントに〈水色ジェネレーション〉なんだなと思います。弾さんの曲を歌ってると、自分のなかの〈女の子〉の部分がすごく出てくるんですよね。私はこっそり弾さんを〈ロマンチック先輩〉と呼んでます(笑)」。

エレクトロニクスを全面的に採り入れたタワレコ限定の先行シングル“こどなの階段”(作詞・小出祐介、作曲・山口一郎)、80sのアイドル・ポップを想起させる“たぶん、青春。”(作詞・土岐麻子、作曲・矢野博康)などカラフルな楽曲が並ぶ。それらの世界観を正確に把握し、ナチュラルにシンクロしていくヴォーカルは本当に魅力的だ。

「“たぶん、青春。”は、大好きな斉藤由貴さんの歌い方を参考にさせてもらってるんですよ。〈さよなら〉という言葉が何回も出てくるんですけど、ひとつひとつニュアンスを変えることで、表情を付けられたらなと。〈こういうふうに歌いたい〉というのが少しずつできるようになってきて、ますます歌うことが好きになってますね。小さい頃は自分の声があまり好きじゃなかったし、どこか虚勢を張ってるところもあったのですが、いまはリラックスして歌えるようになってます。そういうところも変わってきたのかなと思います」。

さらに彼女は、「プロデューサーの矢野さんとの関係も変わってきたかも」と言葉を続ける。
 「『はじめまして、私』のなかに“みたことないこと”という曲があって、ライヴでやるとすごく盛り上がるんですよね。ああいう曲がもっと欲しいと思っていたから、今回の制作に入る前に矢野さんの耳元で、〈“みたことないこと”みたいな曲、いいですよね〉と言ったりして(笑)。そして出来上がったのが“ミライクロニクル”です」。

来春には高校を卒業。少しずつ大人の階段を上り、アーティストとしての自我に目覚めつつある南波志帆は、これからさらに素敵なポップスをわれわれに届けてくれることになるだろう。

「いつも前を向いて、新しいことにも挑戦して。(クリエイターの)皆さんに〈曲を書きたい〉と思ってもらえるような、おもしろい存在でいたいなと思います。大学にも行ってみたいですね! 音楽と学校、2つの場所があるというのは自分にとって良いことだと思うので。キャンパスライフ、いいですよね。運命の出会いとか、あるのかな〜(笑)」。

▼関連盤を紹介

タワレコ限定でリリースされた『水色ジェネレーション』の先行シングル“こどなの階段”(ポニーキャニオン)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2011年07月20日 23:27

更新: 2011年07月20日 23:28

ソース: bounce 334号 (2011年7月25日発行)

インタヴュー・文/森 朋之