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インタビュー

TEAM ME 『To The Treetops!』



ノルウェーからこんにちは! ピアニカやヴィブラフォンの音をガチャガチャ重ねたファニーなポップ・ミュージックで、ミーといっしょに春の訪れを感じてみない?



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「“Weathervanes And Chemicals”はもうずっと前に作った曲で、最初はバラードとして書いていたんだ」。

そう語るのはマリウス・ドログサス・ハーゲン(ヴォーカル/ギター/シンセサイザー:以下同)。ノルウェーの首都・オスロで活動するチーム・ミーの中心人物だ。

「チーム・ミーはもともと僕がラップトップで行っていたプロジェクトなんだ。そのプロジェクトで作っていた“Weathervanes And Chemicals”がノルウェーのラジオ・コンテストの最終選考まで残って、ライヴで演奏することになったんだよ。そのライヴのために友人たちを集めてできたのがチーム・ミーさ」。

華奢な身体に似合わず、ライヴではぴょんぴょん飛び跳ねる紅一点のシュンネ・エーヴェルラン・クヌーセン(ヴォーカル/キーボード)をはじめ、個性的なメンバーによって構成されたこの6人組。昨年のファーストEP『Team Me』が、発表されるやさまざまなメディアやブログなどを通じて話題となり、瞬く間に世界中に彼らのファンを生むことに。そのEPはとても新人バンドとは思えない出来で、同じ北欧はデンマーク出身のミューからの影響も窺わせる。実際にマリウス本人も「ミューは僕らがすごく影響を受けたバンド。“Am I Wry? No”のシングルを手に入れてから、彼らの大ファンなんだ。ヨナス・ビエールは北欧が誇るもっとも才能のあるポップ・ソングライターだと思うよ!」と無邪気に語ってくれた。

そしてこのたび、待望のファースト・アルバム『To The Treetops!』をリリースした。EPではスターズやスノウ・パトロールとの仕事で知られるトム・マクフォールを共同プロデューサーに迎えていたが、本作はマリウスによるセルフ・プロデュース作品に。

「トムとは親友なんだけど、彼とEPを作った後でファースト・アルバムは自分たちでプロデュースしたい、自分たちの手だけで作られるべきだって思ったんだ」。

そんな本作、一言で言えばEPのクォリティーを遥かに凌ぐ傑作に仕上がった。さまざまにムードが変化する“Riding My Bicycle(From Ragnvalsbekken To Sorkedalen)”では、「人々を僕らの幻想的な世界に連れて行きたかったんだ」と言うように、まるで映画さながらにぐいぐいと聴く者を彼らの世界に引きずり込む。また、EPに収録されていた“Weathervanes And Chemicals”も再録され、収められている。

「この曲はバンドの初期からあるものだし、ライヴで演奏するのがすごく楽しいんだ。この曲では小さな街で育つことの矛盾と、良いことや悪いことも含めその町がもたらしてくれるものについて歌っているんだよ。それと、ドラッグの幻想のなかで自分を見失ってしまった人についての歌でもある。彼はそのなかから抜けられず、自分の意思に反して、裏切り者になってしまうんだ……」。

そんな、時々ハッとするようなテーマも盛り込まれた『To The Treetops!』だが、マリウスにとって音楽とはどのようなものなのだろう。

「僕にとって音楽はいつも現実逃避であるということの象徴なんだ。それは子供時代に木登りをして現実逃避したことに似てると思ってね」。

テキいま世界中がもっとも注目するノルウェーのバンドと言っても過言ではない彼ら。最高のファースト・アルバムと共に素晴らしいスタートを切ったわけだが、今後の予定は?

「これからも音楽を作っていきたい。互いを気遣い合いながら、世界中を旅して良い雰囲気を振り撒くことができたらいいね!」。



▼2011年に発表されたチーム・ミーのファーストEP『Team Me』(Propelle)

▼“Am I Wry? No”を収録したミューの2000年作『Half The World Is Watching Me』(Evil Office)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2012年02月15日 00:00

更新: 2012年02月15日 00:00

ソース: bounce 341号(2012年2月25日発行号)

インタヴュー・文/長谷川 梓