マーク大将の攻撃力が落ちない本当の理由は?
2008年作『Edit』リリース時の本誌インタヴューにて「最近気に入っているのは、セバスチャンの音とかブーティー・ベースとかレゲトンとか」と語り、同年の〈フジロック〉ではメディやエロール・アルカンのDJでガン踊りする姿までキャッチされてしまったマーク大将。大御所らしからぬフットワークの軽さでもって、「スクリレックスやガスランプ・キラー、ラスコが見せてくれる錬金術、それにジョーカー、カーン、ピンチみたいに新しいことをやってるブリストルの次世代ベース・ヘッズには刺激を受けてるね」と、最近も相変わらず細々チェックしている模様です。
なお、『The Politics Of Envy』から先行カットされた“Autonomia”のリミキサーにピンチやJDトゥウィッチ(オプティモ)を起用したのも、大将本人のアイデアだったみたい。他にもスティーヴ・アオキやブラカ・ソム・システマをお気に入りに挙げ、「俺がダンス・カルチャーからいろいろと頂戴するのは、ブリストルの海賊の伝統に則っているんだ。かの有名な黒ひげみたいなもんだな」と補足してくれました。そんな黒ひげ大将は、近頃ちょっと意外なものにハマっているとか……。
「いまはレオ・フェレみたいな、かなりロマンティックなシャンソンをよく聴いている。〈Sci-Fi Lullabies In A Haunted Dancehall(直訳すると、呪われたダンスホールのSF的な子守歌?)〉っていうのが新作のテーマのひとつで、フューチャリスティックなバラード歌手の役割に俺は惹かれているんだ。だからレオ・フェレには凄くインスパイアされた。ロマンスと政治ってのは刺激的なミックスだ。情熱があらゆる動物的本能を動かしている」。
なるほど、新作で聴けるヴォイシングにフェレの面影がある……かどうかは皆さんそれぞれに判断していただくとして、このようにさまざまな音楽を吸収し続けているからこそ、大将はいつまでたっても錆びないんでしょうね。
▼関連盤を紹介。
左から、マーク・スチュワートの2008年作『Edit』(Freakes R Us)、スクレリックスによる2012年のミニ・アルバム『Bangarang』(Big Beat/Atlantic)、ジョーカーの2010年作『The Vision』(4AD)、ピンチによる2012年のミックスCD『Fabriclive 61』(Fabric)、スティーヴ・アオキのニュー・アルバム『Wonderland』(Dim Mak/Ultra/KSR)、ブラカ・ソム・システマの2011年作『Komba』(Enchufada)、レオ・フェレの64年作『Les Poetes Volume 3: Verlaine Et Rimbaud』(Barclay)