インタビュー

藍坊主 『ノクティルカ』



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自身のなかにある〈光と闇〉



神奈川は小田原出身のバンドとして活躍する藍坊主。hozzyの透き通るようなヴォーカルと、力強さと優しさを兼ね揃えたオリジナリティー溢れるサウンドを持ち味に、前作『ミズカネ』はオリコン初登場TOP10入りを果たし、2011年には初の日本武道館公演も実現。そんな彼らが2年2か月ぶりとなるニュー・アルバム『ノクティルカ』を完成させ、藍坊主らしい新たな世界観を表現している。

「今作はシングルになっている“ホタル”と“生命のシンバル”の2曲以外、すべての曲においてセルフ・プロデュースしました。僕らとしては初めての試みとなるほぼ全楽曲のセルフ・プロデュース。今年で結成12年目を迎え、さらに〈3.11〉を経験したことで自分たちが表現したいものがより明確に見えてきたように思います。“ホタル”然り、ほかの楽曲も然り、今回はよりストレートに表現した曲が多いですね。難しく考えたり、曲を複雑にして表現していた時期もあったんですけど、震災を経て自分たちの気持ちにストレートになった部分が大きいです。今回はもっとシンプルに、自分たちがいいと思うもの、聴いた人がすぐに反応できる曲にしたかったんです」(hozzy、ヴォーカル)。

hozzyがそんなふうに語る本作では、楽曲や歌を聴いた時に思い浮かべる〈情景〉が、よりシンプルに、直感的に伝わってくる。彼らの持ち味であった日常のなかのふとした風景や出来事を歌詞にする力は今作でも如何なく発揮され、力強い旋律のなかに切なさを滲ませるような、これまでの藍坊主らしさをより際立たせた〈ニュー・スタンダード〉とも言える仕上がりだ。

「藍坊主には〈自分たちが持っている光と闇〉というテーマがあるんです。藍坊主はどちらかというと、すべてを浄化する太陽の光というよりも、太陽の光を反射してぼんやりと光る月のような、淡い光のイメージ。今回は、闇のなかでよりいっそうぼんやりと光っている“ともし火”のようなそんな曲が多いですね。日常のなかでよくよく目を凝らさないと見えてこない大切なことを伝えたいという気持ちが、メンバー全員のなかに自然とあったように思います。震災のあとに思ったのは、何かに寄り掛かっているような状態ではダメなんだなと。僕らの意識ももちろん変わったし、そのなかから藍坊主らしい自分たちの光を見い出していったように思います」(田中ユウイチ、ギター)。


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掲載: 2012年04月11日 17:59

更新: 2012年04月11日 17:59

インタヴュー・文/持田博行(マザープロダクションズ)