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インタビュー

INTERVIEW(3)――日々のなかで心に残った音のスケッチ



日々のなかで心に残った音のスケッチ



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――収録曲はオリジナル・アルバムからまんべんなく選ばれてますよね。2006年のファースト・アルバムからは“逆襲のテーマ(cro-magnon's Revenge Mix)”と“Kai-Ho”の2曲がセレクトされてて。

大竹「このファースト、結構好きなんだよな。いまと状況が似てるところがあって、初期衝動が全面に出てたと思う。Loop Junktionではできなかったことを全部やったし、そのぶんとっ散らかってると言えばとっ散らかってると思うけど」

金子「レコーディングの途中で録ったセッションがスキットになってたり、他のアルバムとは違う作り方をしてますね」

――まだ手探りだった?

コスガ「そうですね。(セカンド・アルバムの)『GREAT TRIANGLE』で、最初の頃に充満していた初期衝動がひとつの形になったんだと思う」

大竹「そうだね。こなれたというか、一枚のアルバムとしてのトータルの形が出来た」

――はっきりとした方向性が見えたはじめた、と。

大竹「そういうことだね。ファーストが出た後いろんな現場に呼んでもらったし、そこで求められるものがわかってきたことによってバンドとしての方向性が固まってきた」

――その方向性というのはディスコ・ダブ的なもの?

コスガ「そうですね、まさに」

大竹「セカンドぐらいまでの時期はオレらも毎日夜遊びしてたし、そのとき東京のクラブでかかっていたような曲のバンド・ヴァージョンをやろうっていう意識があった。(東高円寺)GRASSROOTSでDJ NOBUくんがかけてたテクノのイメージだったり……」

――HIKARUくんがかけてたディスコ・ダブだったり。

大竹「そうそう」

コスガ「そういうインスピレーションはいまも大事にしてますね。どの作品も心に残った日々の音のスケッチが元になってる」

――では、サード・アルバム『III』ではどういう方向をめざそうしてたんですか?

大竹「フェスも増えてきて、ジャケみたいに3人ともウネウネッとしてる感じ」

――ウネウネ?

大竹「なんというか、結構忙しくなってきて、ウワーッて感じになってた(笑)。『GREAT TRIANGLE』でひとつの形が見えたので、新しい方向に進み出そうとしてたアルバムっていうか」

コスガ「録音物としての作風を確立したいというか、いろいろな欲が出てきた時期ですね。ミニマルなダンス・トラックのなかでもいろいろ試したくなってきて、それがファーストのころとは違う形の初期衝動になっていったというか」

――オリジナル・アルバムとしては最新作となる4枚目『4U』はいかがですか。

大竹「ジャケット通り、真っ白になって、これから色付けしていこうという感じ。いま考えると、オレ的には依然探ってる感じのアルバムかな」

金子「アルバムというトータルの世界を作ろうという意識がさらに高まってきて、〈歌モノもやろう〉というアイデアが出てきて」

――その後、カヴァー・アルバムの『PLAYS』、新録曲と既発曲で構成された歌モノ・アルバム『Joints』という2作品が出ました。

コスガ「結局出なかったサントラが一枚あるんですけど、あれは完全にシーンに合わせて作った作品だったので、アレンジの勉強にもなりましたね」

――そう考えると、『4U』以降はカヴァー集があって歌モノ・アルバムがあってサントラがあったわけで、すごくいい修行の場になってますよね。

大竹「考えてみるとそうだね。いまは〈純粋に自分たちが聴きたいものを作りたい〉という、ある意味ではファーストの頃に近い感覚になってるから。転がるような活動スタンスじゃなくて、周りを見ながらじっくりいいアルバムを作りたいね」

コスガ「あと、カヴァー曲を2、3曲録って現場だけで売ったりしたいですね。音楽を広めるにはそういうやり方もいいと思うし、相変わらず周囲のDJがいろんな曲を教えてくれますしね」

――今後が楽しみですね。ちなみに、いまはどんなものを聴いてるんですか?

大竹「この間のNOBUくんのDJが凄かったんだよね。脳がシェイクされまくっちゃって……テクノもすごいDJがかけると太鼓の記憶と繋がってくるような感覚があるんだよ。それを目の当たりにしちゃって、〈DJってすげえな、オレもがんばろう〉と思った」

――かといって、NOBUくんがかけてるようなテクノをcro-magnonでやってみようとは……。

大竹「思わないよね(笑)。でも、そこで感じた精神性は今後のインスピレーションになるかもしれない」

コスガ「そういえば、この前買ったエディットが……(と、音楽談義が続く)」


カテゴリ : .com FLASH!

掲載: 2012年04月18日 18:00

更新: 2012年04月18日 18:00

インタヴュー・文/大石 始

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