インタビュー

『MUSIC』を彩った豪華アレンジャーを全員紹介&各曲解説をドドンと❤――(2)

 

橋本由香利

 

“バカ❤バカ❤バカ”を、カラフルで軽快なチップ・チューンに仕上げた彼女は、現在のアニソン・シーンを語るうえで、決して避けて通れない女流作曲家だ。その『MUSIC』で重要な役どころを演じている堀江由衣作品で数々の名曲を残しており、なかでも堀江がリーダーを務めたAice5の“LOVE POWER”は、橋本の名を世に知らしめるきっかけとなった曲である。他にも、声優の田村ゆかりに提供した“Princess Rose”、エンディング曲“オレンジ”などアニメ「とらドラ!」のサントラも話題となり、さらに劇伴を担当したアニメ「輪るピングドラム」では、ミステリアスな本編の作風を音楽の力で引き立てていた。

 

▼関連盤を紹介。

左から、Aice5の2007年作『Love Aice5』、「とらドラ!」のサントラ・ベスト『とらドラ! BEST ALBUM √HAPPY-END』(共にスターチャイルド)

 

 

高橋諭一

 

80年代後半に登場したアイドル・ソング界のビッグネーム作家の一人。これまでに松田聖子や渡辺満里奈などの楽曲も手掛けているが、もっとも有名な仕事と言えば森高千里のサウンド・チーム時代で、彼女と共に“ファイト!!”など数々のヒット曲を世に送り出している。2000年代に入ってからはプッチモニや後藤真希、松浦亜弥などハロー!プロジェクト関連の仕事を多くこなし、現在も℃-uteや真野恵里菜などの編曲を担当。その手腕は彼らしい煌びやかで賑やかなポップソング“CAN YOU SPEAK JAPANESE?”にも表れている。

 

▼関連盤を紹介。

左から、森高千里のベスト盤『ザ・ベスト・セレクション・オブ・ファースト・モリタカ 1987-1993』(ワーナー)、真野恵里菜の2012年作『More Friends Over』(hachama)

 

 

柏森進

 

エキセントリックな電子音と性急なリズム、先の読めない楽曲構成、オタクにしか理解し得ない(!?)、一般的には難解とされる歌詞……といった要素を持つ、いわゆる〈電波ソング〉における最重要人物であり、それを世界に知らしめたユニット・MOSAIC.WAVのキーボーディスト/ソングライター。フックが詰め込まれた極端にキャッチーな楽曲構成と、主旋律の裏でシンセが縦横無尽に遊び回るようなアレンジが彼の十八番だ。そんな魅力は“Fall❤In❤Loveに恋してるっ♪”でもしっかり発揮され、りゅうじんの欲望が爆発寸前!な様子をコミカルに演出している。

 

▼関連盤を紹介。

MOSAIC.WAVのベスト盤『AKIBA-POP√ RECOLLECTION』(ジェネオン・ユニバーサル)

 

 

新井健史

 

PCゲームやコンシューマー・ゲーム、アニメのキャラクター・ソング/主題歌などを中心に数多くの楽曲を制作し、愛内里菜やfripSideらアーティストへの提供も行っている作家。そのなかでも、ゲームメーカー・5pb.関連作品での活躍が目立ち、最近ではX-BOX360用ゲーム「CHAOS;HEAD らぶChu☆Chu!」の主題歌で、naoが歌う“シンクロしようよ”の編曲で聴かせたド派手なシンセ・ポップ・アレンジは、“りゅうじんのエッチ❤~ぼくのばちあたりな妄想劇~”にそのまま直結する編曲と言えよう。

 

▼関連盤を紹介。

naoの2010年のシングル“シンクロしようよ”(5pb.)

 

 

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2012年05月09日 17:59

更新: 2012年05月09日 17:59

ソース: bounce 343号(2012年4月25日発行)

文/冨田明宏

記事ナビ