米咲先輩のソングライティング、その栄養源を探る!
赤い公園の独創的な楽曲、その根っこには、ソングライターである津野米咲の音楽的趣向が当然の如く反映されているわけなんですが、そのほとんどは、いわゆる〈ロック〉と呼ばれるような音楽以外のところにあったりするからおもしろい。
「歌詞に関しては、日本語で書くというのが前提としてあるので、いわゆる作詞家さんの詞が好きですね。そのほかにはユーミン……最近のものも素晴らしくて捨て難いのですが、荒井由実時代の『MISSLIM』がたまりません。“海を見ていた午後”の美しさに憧れます。あと、最近はMr.Childrenの歌詞がめっちゃ響くんですよ。『IT'S A WONDERFUL WORLD』に入ってる“Drawing”は死ぬほど好き(笑)。Mr.Childrenの歌詞は、すごく言葉が詰め込まれているんですけど、リズム感があるし、言葉はありふれているけれど並べ方がありふれていない。そういった観点でいえばアイドルソングも好きですね。やはりつんくさんと秋元康先生は神です。つんくさんは擬音とか造語の天才。曲作りに関してもすっごく自由だなあって印象があって、最近はトランスみたいな曲も作ってるじゃないですか。そういうの聴いてると、バンドとかって負けてるなあって思います(笑)。数あるつんくさんワークスでも℃-uteが好きですね。秋元先生だとAKB48のチームAが歌ってる“隣人は傷つかない”の歌詞が特に好き。作曲に関しては、泣きが入ってて、ちょっとフュージョン感のあるコード感を好みます。昔のアイドル、それこそ松田聖子さんとかSMAPの『BOO』とかを聴きながら、これをバンド・サウンドでやったら、みたいなこともよく考えます。好きな作曲家は筒美京平さんで、6枚組のCD-BOXは愛聴盤です。あと、母も好きで小さい頃からよく聴いていたピチカート・ファイヴ。小西康陽さんが作った曲のなかでいちばん好きなのは、ゆうこりんの“オンナのコ♡オトコのコ”なんですけど(笑)。海外の作品では、デヴィッド・フォスターの『The Symphony Sessions』だとか、ジョン・ウィリアムスのサントラたち──ベタにハリー・ポッターのサントラなどが〈神盤〉ですね」。
▼関連盤を紹介。
左から、荒井由実の74年作『MISSLIM』(EMI Music Japan)、Mr.Childrenの2002年作『IT'S A WONDERFUL WORLD』(トイズファクトリー)、℃-uteの2011年作『超WONDERFUL⑥』(zetima)、AKB48の2011年作“上からマリコ”(You, Be Cool!/キング)、松田聖子のベスト・アルバム『Diamond Bible』(ソニー)、SMAPのリミックス・アルバム『BOO』(ビクター)、筒美京平作品を収めた6枚組CD-BOX『Hit Maker -筒美京平の世界-』(ソニー)、小倉優子のベスト・アルバム『パーフェクト・ベスト』(スターチャイルド)、デヴィッド・フォスターの94年作『Symphony Session』(Atlantic)、サントラ『The Complete Harry Potter Film Music Collection』(Silva)
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カテゴリ : インタビューファイル
掲載: 2012年05月09日 00:00
更新: 2012年05月09日 00:00
ソース: bounce 343号(2012年4月25日発行)
文/久保田泰平