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インタビュー

INTERVIEW(4)――〈いいアルバム〉を作れた感触がある



〈いいアルバム〉を作れた感触がある



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――それにしても、新作は雑多な要素が交じり合ったアルバムに仕上がっていて、おもちゃ箱的な楽しさがたまらなくいいんですよね。

「僕はプロ・ミュージシャンだけども、気持ちは中学生のまんまで、ただの音楽ファンなんです。ただ、いまの新しい音楽がわからないんで、ラヴィン・スプーンフルやNRBQ然り、自分が好きだったロックの匂いを持つ音楽に向かってしまうところはあります。あの頃に全部聴くことができなかったから、70年代のロックをいま深く掘り下げていたりする。つまりは、中学生の頃に戻ろうとしているだけなんですけどね。新しい音楽を聴かないと新しいものは出てこないよ、と言われたら、僕は新しいものより自分の好きなものを作りたいって答えると思う。それでも街中に聴こえる音はわかるので、“Welcome To The Jungle”は、レディ・ガガを聴いて作ったんです(笑)、仮タイトルは〈ガガ〉だった(笑)。とは言え、彼女のことを深く知っているわけじゃないから、勝手なイメージを膨らませて打ち込みのアレンジをしただけなんだけど」

――へえ、聞かないとわかんないな~(笑)。

「レディ・ガガとガンズ・アンド・ローゼズに影響受けた曲がいきなり出てくるんだもん。それ、おかしいよね(笑)」

――いろんなエッセンスが、特殊な〈BOND〉でくっついているわけですね。

「まさにそう! 僕としてはいろんなものをくっつけてヘンなものを作るのがいまもおもしろくてね。醤油とソースを混ぜたって美味しくないかもしれないけども、もうちょっと組み合わせを考えていったら、独特のものができるかもしれないなって」

――『B.O.N.D.』を作り終えて、手応えはどうですか?

「今回作り終えて、〈そうか、こう作ればいいんだ〉ってことを見つけた気がする。いまそこにある楽曲でちゃんと行くべき道を見つけるんだってこと。80年代の話に戻っちゃうけど、僕らはずっと〈シングル・ヒットを飛ばせ〉って言われ続けてきた。だからアルバムもシングルの寄せ集めみたいな〈いい曲集〉になった。いま思うと、94年に辞めていった三谷(泰弘)はシングル的なことはメイン・ヴォーカルの僕に任せて、アルバムではいちばん遊んでいたかも。当時僕はそれができなかった。でも、今回はその〈いい曲主義〉を続けながら、アルバムならではの曲を集めつつ〈いいアルバム〉を作れた感触があるんだ。30数枚も作ってきて、いまさらこういうことを言うのもナンだけど(笑)」

――ところで、35周年のイメージはどうですか? その頃には還暦を迎えていますよね?

「スタレビって35年とか40年とか、アニヴァーサリーを売り物にするバンドじゃないところにいたいんです。得体の知れないバンドで居続けたいというか、半分水面下の状態を保つというか、いるのかいないのかよくわからないネッシーのような存在でいたい(笑)」

――(笑)。

「写真では見たことあるけど、いつか実物を見てみたいね、っていう伝説の存在(笑)」

――でも現状ぐらい観客動員があると難しいですよ。

「いや、もしかしたら〈STARDUST REVUE〉って名前ぐらいは皆さん知ってくれているのかもしれないけど、きっと曲名とバンド名は一致していないと思うんだ。〈バンド名は知ってるけど曲は知らない派〉と〈曲は聴いたことあるけどバンド名が出てこない派〉。現時点では、曲とバンド名がバラバラに流通してるような気がしますね。ただ、あくまでも流通させたいのはバンド名と曲名だけで、顔が出回るのは嫌なんです(笑)」

――控えめですねえ。

「いや、これっておもしろいことですよ。例えば“木蘭の涙”は“上を向いて歩こう”と同時代の曲だと思っている人もいたりしますからね(笑)。知られていないからこそ、おもしろい伝わり方をしているのかもしれない。スタレビはいまのところ、そういう状況を良しとしているところがある。とは言いながらね、〈僕らは“木蘭の涙”だけじゃないぞ!〉って言いたい気持ちもある」

――しかし、予期せぬ大ヒット曲が待っているかもしれませんよ、還暦を迎えた時に。

「ハハハ! そうなったらすごいことですよね!!」


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掲載: 2012年09月12日 16:00

更新: 2012年09月12日 16:00

インタヴュー・文/桑原シロー