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インタビュー

eastern youthの系譜に連なりそうな新世代たち



鴉 『天使と悪魔』 トイズファクトリー(2012)

秋田在住の彼らは、eastern youthからの影響を公言する(トリオ編成なのもそれが理由らしい)。マイナー調の和風な旋律と、ささくれ立ったサウンドはまさしく彼ら譲り! そこに思いっきりエモーションをぶつけたり、情緒たっぷりの官能的な歌い口で聴かせたりするハイトーン・ヴォイスの組み合わせがユニークだ。

 

DOIMOI 『Materials Science』 SPACE SHOWER NETWORKS(2012)

重く引きずるような鋼鉄ギター・リフを軸に、転調や変拍子を緻密に組み込んだハイエンドなアンサンブルが衝撃的な、名古屋のポスト・ハードコア・バンド。USオルタナやプログレの色が濃いサウンドだが、いかにもエモなメロディーは、eastern youthと同じく日本人ならではの哀愁をたっぷりと含有している。

 

THEラブ人間 『恋に似ている』 スピードスター(2012)

下北沢発の男女混合フォーク・ロック・バンド。ヴァイオリンを擁する軽やかなサウンドに、性的なトピックでもあっけらかんと歌う生々しい詞が特徴だ。物凄い求心力を生むのと同時に熱を放射する金田康平の歌声の存在感は、吉野のそれともどこか通じるものがある。

 

忘れらんねえよ 『忘れらんねえよ』 バップ(2012)

己の情けなさとみっともなさを見つめて、それでもなりふり構わず愛とリビドーを叫ぶ、天才的なセンスの歌詞でじわじわと支持を広げる彼ら。3ピースらしいパンキッシュでシンプルなロックンロールで、その暑苦しさと真っ直ぐさはeastern youthとも重なる。

 

太平洋不知火楽団 『太平洋不知火楽団』 Yanagawa(2010)

東京のインディー・ロック界隈を代表するバンドのひとつで、荒々しい演奏と残響音にまみれた金属質なサウンドが特徴の3ピース。無軌道なエネルギーを感じさせる、エモーショナルなヴォーカルがeastern youthとの共通点だ。10月以降は活動休止期間に入ってしまうのが惜しまれる。

 

Discharming man 『フォーク』 Pヴァイン(2011)

かつてeastern youthを育んだ札幌のエモ・シーンを牽引する、直系の後輩と言える蛯名啓太のソロ・ユニット。前作に関与していたbloodthirsty butchersの吉村秀樹は脱退したが、現在は5人編成で活動中。表題の通りフォーキーな色合いの本作では、孤独と葛藤を経て穏やかな心境へと至る言葉が、イノセントな歌声で切々と歌われる。

 

緋と陽 『燃えて泣く鳴る』 PERFECT(2011)

〈ひとひ〉と読む3ピース。コントラバス(弾くのはNATUMENのベーシストでもある山本昌史)も用いたポスト・ロック・サウンドで、トリッキーなフレーズの反復は聴き手をどこまでも昂揚させてくれる。そんな演奏に乗せて咆哮するヴォーカルの熱量は、eastern youthにも負けてはいない!

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2012年10月11日 14:45

更新: 2012年10月11日 14:45

ソース: bounce 348号(2012年9月25日発行)

ディスクガイド/鬼頭隆生

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