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インタビュー

INTERVIEW(2)――世界のどこを探してもない音楽になった



世界のどこを探してもない音楽になった



――沖さんと雅-MIYAVI-さんに関しては、今年の春にブルーノートで共演されていて、それは沖さんから声をかけたわけですよね?

沖仁「そうですね。春のブルーノートなどを回ったツアーで、会場ごとに違うアーティストと1対1に近い形で共演させてもらう企画を考えて、横浜では上妻さんとやらせてもらったんですけど、東京はブルーノートで雅-MIYAVI-くんにお願いしました」

――雅-MIYAVI-さんのことはいつ頃からご存じだったんですか?

「僕はだいぶ前からファンで、CDも買って聴いてたし、〈耳コピしようかな〉とか思ったり(笑)。いろんなふうに(スタイルが)変化していくのもおもしろくて、前はデス・メタルみたいな感じだったけど、最近の動画をYouTubeで観たらアコギでやってたから〈案外接点あるのかも〉と思いはじめて、〈声かけちゃおうかな〉って」

「ビビるわ(笑)! それこそ俺以外の会場での共演者が上妻さん、木村大くん、渡辺香津美さんで、俺がトリ(最終公演)だったんですよ。しかも場所はブルーノートだし。超緊張してましたからね」

「そうなんだ。全然そうは見えなかったけど」

「だってブルーノートに観に行くことはあっても、自分がやるなんて想定してなかったですから。でも、めちゃめちゃ盛り上がりました」

上妻「俺もその日観に行ってて、最初は周りの人が〈あんなに刺青して、何やる子なの?〉って、ちょっと訝しげな感じだったんですけど、演奏が始まった瞬間空気が変わって、〈カッコイイ!〉とか〈カワイイ!〉って(笑)」

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――そんな3人が〈対戦〉した“HA NA BI”ですが……痺れましたね。

「左のスピーカーから三味線、右からはフラメンコ・ギターで、真ん中にスラップ・ギター。もう、富士山からヨーロッパ、地中海を行ったり来たりっていう(笑)。それでいて、トラディショナルな日本の音楽でもスパニッシュでも、ロックでもない。われながらすごいトラックが出来たと思ってます。これ、最初は“KA TA NA”っていうタイトルだったんですよ」

――それがなぜ“HA NA BI”に?

「俺らは刀の代わりにギターや三味線を弾いて、世界をブッタ切ってる。そこから“KA TA NA”にしてたんですけど、レコーディング前日にたまたま家族と花火を見に行ったんですね。キッズたちもワーキャーしてて楽しかったんですけど、こう、花火を見ていて、夜空に煙となって消えていく様がすごく切なくて、そこにロマンを感じたんですよね。俺たちも音楽の大きな流れのなかで言うと点なんですよ。でも、そこでどれだけスパーク、燃え尽きることができるか、それがすごく花火とリンクして、曲自体もそういうイメージで作りました」

――どの程度原型を作ってるんですか?

「トラック自体は結構ノリというか、パッションでバッとぶつけられるような受け皿、骨格だけ作って、あとは〈自由に弾き倒してください〉っていう」

上妻「2人でやるバトルはありますけど、トリオって、組み合わせによってはすごく難しいと思うんですね。でも、雅-MIYAVI-くんは統率力もあって、スタジオの雰囲気もすごく良かったし、テイクもそんなに多くなく、すごく内容の濃いものが録れたと思います」

「ドラムも含めて全員〈せーの〉で録ったんですけど、それって結構勇気がいる選択肢だと思うんですね。でも、あえてリスキーなやり方でやるっていうのはすごくいいなと思って、〈奇跡が起こることを信じてるんだな〉って気がしました。実際に、この録り方じゃないとこうはならなかったと思うし、楽曲自体すごく気に入ってます」

「ホントに奇跡的な楽曲で、パッと聴きそこまでわからないかもしれないけど、ミックスがすげえ大変で(笑)。俺は今回ホストとして、素晴らしいプレイを引き立たせたかった。真ん中でベースの役目をしてたんだけど、やっぱりギター同士だから沖さんと音が似てて、そのバランスがすごく大変でしたね。でも、そのぶん世界のどこを探してもない音楽になったっていう自信があるので、世界中に聴かせたいです」


カテゴリ : .com FLASH!

掲載: 2012年11月14日 16:30

更新: 2012年11月14日 16:30

インタヴュー・文/金子厚武