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インタビュー

INTERVIEW(3)――自分たちにしかないものを意識する



自分たちにしかないものを意識する



――これは改めての質問になりますけど、そもそも雅-MIYAVI-さんがエレキからアコギ主体に移ったのはどういう理由からだったんですか?

「やっぱり、三味線がデカいですね。エレキはイングヴェイ(・マルムスティーン)とかヌーノ(・ベッテンコート)的なのが登場して、そこから先はないと思っちゃったんです。どれだけ巧くても、いまじゃそんなの腐るほどいるし、そうじゃなくて、日本人としてギターを弾く意義をちゃんと見つけたかった。あとは、アコギのほうがダイレクトに伝えられる。スラップに関してはラリー・グラハムとかマーカス・ミラーとか、ベーシストからも影響を受けました。ギターっていう楽器を3Dにするっていうか、奥行きのある音にしたかったんです」

――それぞれの共通点について、上妻さんはどうお考えですか?

上妻「バックグラウンドに同じようなところがあると思うんですね。例えばフラメンコは旅芸人、ジプシーが発祥で、三味線も旅芸人が発祥。その土地その土地の文化や生活を体験して、差別を受けながらも旅を続けていくなか、人を呼ぶために静かなものが派手になり、小さい音が大きい音になっていった。技法に関しても、もともと譜面に書いていたけど、前の人と同じ演奏をしてもダメだから、即興で演奏するスタイルに変わっていった。そこで三味線とフラメンコは繋がってて、パッションがある一方で、どこか哀愁もあるっていう」

――沖さんはいかがですか?

「僕は雅-MIYAVI-くんの音楽ってすごくダンサブルに感じるんですね。人を踊らせる、躍動させるための音楽っていう側面があるなって。フラメンコもダンス・ミュージックの側面があるから、そこは改めて思いました。グルーヴ感みたいなところは、2人からすごく刺激を受けましたね」

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上妻「グルーヴっていうのは、それをどう感じるかで、その円のなかにいっしょに入れれば、一心同体になって楽しいわけですよ。ジャズの超一流と呼ばれる方とやったときも、そのグルーヴに乗れると最高なんですよね。それを感じられるかどうかは、努力ではできない、センスとか才能だと思うんです」

「雅-MIYAVI-くんと上妻さんのグルーヴはすごく共通していて、真っ直ぐ進んでいく感じがすごくするんですよね。どんな障害があっても真っ直ぐ突き進む、誰にも止められないみたいな感じがしたし、それが〈サムライ〉っていうキーワードとリンクしてて、そこはすごく見習いたいと思いました」

上妻「そう言ってますけど、沖さんにもそういうところはあるんですよ。こう見えてせっかちだしね(笑)。ただ、その進み具合が三者三様ちょっと違うだけで、純粋に音楽を愛して、自分の進む道をそれぞれグッと行ってますからね」

――雅-MIYAVI-さんはグルーヴについてどうお考えですか?

「俺たちにしかないグルーヴ……ってっていうと、たぶん〈間〉だったりするのかなって思う。日本語のリズムとか、演歌や小唄、民謡とかを考えると、やっぱり〈間〉が大事だと思うんです。でもそれをどう自分のクリエイションに落とし込むかっていうのは、まだ模索中ですね」

――英語の詰め込むリズムと比較すると、確かに日本語のリズムは〈間〉がありますもんね。

「どっちが良いか悪いかではないんですけど、日本独特というか俺たちにしかないものを意識して、自覚して、それがカッコイイと思ってやらないと」

――上妻さんは〈間〉に関してどうお考えですか?

上妻「西洋の場合、休みっていうのは〈休符〉で、日本の場合は〈無でも在る〉っていう考え方だと思うんです。次の一音にどう集中するか、〈間〉っていうのはいちばん緊張しますね。カウントがない状態で、〈ハッ、ドン〉っていう、どう横を見て合わせるか、ああいう〈間〉はなかなかないものだと思います」

「黒人とかビビるもんね」

上妻「〈ハッ〉で入るのはビビるんですよね。外国の人は〈ヨーッ、パン〉っていう一本締めができないっていうのもよく聞くし。そこにすごくヒントがあるっていうか、自分たちにとっては自然にやってることが海外の人にはないっていう、俯瞰で見ることものすごく重要で、そういう自然な表現の仕方があると思うんです」


カテゴリ : .com FLASH!

掲載: 2012年11月14日 16:30

更新: 2012年11月14日 16:30

インタヴュー・文/金子厚武