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インタビュー

T-SQUARE

(左から)坂東慧、田中晋吾、宮崎隆睦、河野啓三、安藤正容、仙波清彦、田中豊雪、則竹裕之、須藤満、伊東たけし

ワンダフル・デイズは終わらない――
リーダー安藤正容が語る、スクェア結成35年目の真実

1978年のデビューから遂に今年で35年。この記念すべきこの節目にリリースされる本作の名義は "T-SQUARE SUPER BAND" 。その布陣は安藤正容、伊東たけし、河野啓三、坂東慧の4人にサポート・ベーシストの田中晋吾という現在のメンバーに、仙波清彦、田中豊雪、須藤満、則竹裕之、宮崎隆睦という歴代メンバー5名をゲストに加えた10人編成である。思えば2008年の30周年において、歴代メンバーが終結した初めてのT-SQUARE SUPER BAND としてのアルバム『Wonderful Days』とそのスペシャルなツアーの模様はまだファンの記憶に新しい。その後も現体制T-SQUAREとしてのコンスタントなアルバム・リリースにコンサートという充実した活動が展開されてきたせいか、もう5年経ったのかと時の流れの早さに驚いてしまう。

「何か新しい企画はないだろうかといろいろ考えたんですが、やはり古くからのファンの方々に一番喜んでいただけるのは歴代メンバーが集まることじゃないかなと思ったんです。実は前回の30周年ツアーの時に、次の35周年もまたやろうと盛り上がっていたんですよ。お陰様でこの時を迎えることが出来ましたので、是非この機会に懐かしいメンバーをゲストに迎えた僕たちの演奏を楽しんでください。残念ながらスケジュールが合わなくて合流できなかった人もいますけど、それはまた40周年のときに…(笑)」

さてこのアルバム、まず驚くべきは楽曲の充実度。リーダー安藤正容の曲はもとより、坂東慧と河野啓三の曲が醸し出すハジケるような躍動感は大きな魅力だ。そして元メンバーの須藤満、宮崎隆睦、田中豊雪の楽曲がまた絶妙な味を出しており、それぞれが在籍していた時期を彷彿させるかのようなメロディと作風がアルバムをバラエティ豊かなものにしている。

「長くやっていくからには、絶対に新しい要素が必要になってきます。一人で書く曲のバリエーションは限られていますからね。その点、T-SQUAREは良いメンバーに恵まれています。河野君も坂東君も、スクェアらしさという王道を踏まえたうえでいろんなエッセンスを加えた新鮮な楽曲を提供してくれますからね。さらに今回は須藤君、宮崎君、田中君の曲も収録できました。演奏していると彼らの曲が、それぞれ在籍した時代のT-SQUAREとリンクしているのを強く感じました」

また、本作はCDだけの通常盤に加えて、DVD付きの特別盤もリリースされる。DVDは約1時間の映像なのだが、これが実に良く出来ている。オリジナルメンバーである安藤、伊東へのインタヴューを軸として、35年に渡るT-SQUAREの歴史が豊富なライヴ映像を交えながらテンポ良く展開していくのである。

「35年分を限られた時間内におさめるのは難しいんですけどね。あれもこれもと言い始めたらきりがないでしょ。でも、よく作りましたよね。ディレクターは3日間徹夜で編集したらしいですけど…(笑)。このインタヴューではバンド形態からユニットに移行したときの真相とか、当時は公式に発表しなかったことも語ったりしています。もう公表してもいいだろうということで…。ただ、古い映像は衣装や髪型が昭和っぽくて、当事者としてはキツイものがありますね(笑)」

それでは、長寿バンドであるT-SQUAREが常にシーンのメイン・ストリームに存在し、コンスタントな活動を続けてこれた秘訣を聞いてみよう。

「なにはともあれ、まずは強力なマネージメントですよ(笑)。僕たちは作曲や演奏が専門なので、その他の分野はそれぞれのスタッフに頼ってますからね。次に、その都度のいろんなメンバーとの出逢いに恵まれたこと。DVDの中でも語りましたが、例えば和泉君がバンドに持ち込んだポップな要素、本田君のプロフェッショナルなこだわり、再びバンドとしてやっていくことになった河野君、坂東君との出逢い、これらがT-SQUAREの方向性を決定する大きな転機でした。最後に、これが一番大切な要素なんですが、僕たちの作品に共感してくださるファンが大勢いいらっしゃること。自己満足で作っているだけじゃ、プロとして成立しませんからね。河野君や坂東君みたいな次世代のメンバーに恵まれたのも、T-SQUAREの音楽が広く認知されていたからこそでしょうね」

35年積み上げてきた歴史の中で作りあげたスクェアらしさ…、これを踏まえながら常に新鮮であり続けることは至難の業であるはず。今回のアルバムで、彼らがそれを成し遂げている偉大なバンドであることを再認識した。まさに35周年に相応しい素晴らしい作品だ。それでは最後に、今後の展望を語っていただこう。

「まだまだアイデアは尽きないので、モチベーションが続く限りやっていきますよ。去年、T-SQUAREとしてタイで演奏する機会があったのですが、アジア圏にもたくさんのファンがいることに気が付いたんです。今後は是非そういう所にも活動の場を作りたいですね。それに、バンドって海外とか普段と違う状況で揉まれることによって結束力が高まるじゃないですか。そういう体験から僕たちの中に新しい音楽が生まれることにも期待するんですよ」

LIVE  INFORMATION
『T-SQUARE SUPER BAND CONCERT TOUR 2013 “Smile”』

出演メンバー:安藤正容、伊東たけし、仙波清彦、須藤満、宮崎隆睦、河野啓三、坂東慧
○6/15(土)Zepp Namba
○6/16(日)Zepp Fukuoka
○6/22(土)りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館
○6/23(日)  Zepp Nagoya
○7/6(土)渋谷公会堂
○7/13(土) Zepp Sapporo
http://www.tsquare.jp/

カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2013年04月24日 13:05

ソース: intoxicate vol.103(2013年4月20日発行号)

interview&text : 近藤正義