インタビュー



ジェイムズ・ブレイク“CMYK”を筆頭にローンやアントールド、エアヘッドらの楽曲をコンパイルした『IOTDXI』(2011年)はR&Sの新展開を示す一枚だったが、そこに提供した“Lions On The Beach”で脚光を浴びたのが、サム・リケッツとトム・クラークから成るロンドンの2人組、クラウド・ボートである。JBとマウント・キンビーのツアーに帯同して名を広めた彼らは、R&S傘下のアポロと契約。このたび初のアルバム『Book Of Hours』を仕上げてきた。音像に占める歌の重要度の高さはキンビーの進化にも通じる部分で、先述の“Lions On The Beach”では遠くでざわめいていた歌声も、ドープに歪めた賛美歌のような“Wonderlust”や“Bastion”ではスピリチュアルに朗々と響き、即座にJBを連想させるアコースティックな彼岸トロニカ“Drean”などではすぐ耳元まで迫ってくる。キンビーやJBはもちろん、最近のトム・ヨークやライ、ローラ・マヴーラあたりとも並べて聴いてみてほしい〈歌のアルバム〉だ。



カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2013年06月20日 20:00

更新: 2013年06月20日 20:00

ソース: bounce 355号(2013年5月25日発行)

文/出嶌孝次