『演出家出演』に出演した演出家=メンバー5人が語る『演出家出演』
1. S.S
大胡田なつき「スピード感と緊張感のある曲です。わたし、海外の映画によく出てくるポーカーに憧れていて、ポーカーフェイスという単語から歌詞を書きました。〈S.S〉とは何なのか、いろいろと深読みしていただけたら、と思います。ちなみに、トランプを使った遊びのなかでは七並べが好きです」
やおたくや(ドラムス)「“フィーバー”と並ぶライヴを意識した曲。早いパッセージ、印象的なリフ、1曲目に相応しいメンバーの温度感を感じることのできる曲だと思います。ドラム・ソロもあったり……。S!S!ってライヴでお客さんと盛り上がれたら最高だなーと思います」
2. 名前のない鳥
三澤勝洸(ギター)「1月に配信でリリースした曲。サビはポップなんだけど歌詞が物悲しい。演奏していても、すごく感情移入してしまう曲です。ラストにかけての盛り上げもこだわってアレンジした部分なので、ぜひ注目して聴いてみてください」
3. フィーバー
成田ハネダ「3月に出したファースト・シングルの表題曲。ど頭から攻めた作りにしてるのは、パスピエでなかなかないかも。メロディーや歌詞自体はわりと陰鬱なんだけど、それを常にトップギアで演奏を持ってくことで目まぐるしく展開するアッパー・チューンになりました」
4. シネマ
大胡田「チケットやパスポート、本やCD、それらを手にしている瞬間って、ちょうど日常と非日常の間にいると思うの。そんなことを考えながら歌っています。ところどころで見えるデジタル感が好きな曲です」
露崎義邦(ベース)「テンポこそ違えど“チャイナタウン”的な立ち位置かなと思っています。曲によってはデモ段階とまったく違う印象になることも多いですが、これはアレンジ当初から踊れる曲というイメージでした。直感で好き勝手に踊ってもらいたいです」
5. ON THE AIR
やお「TOKYO FMキャンペーンソングで、東京タワーをテーマに〈電波が拡散していく感じ〉で大胡田が詞を書きました。楽器隊はシンプル、これから新生活や新たなコミュニティーでがんばる人に聴いてほしい曲です」
6. くだらないことばかり
大胡田「泣いても泣いても泣き足りない。でも、今日は必ず終わって、明日が来るわけです。曲調も主題も重めですが、抽象的な表現や曲展開でバランスがとれたと思います」
成田「自分が影響を受けた音楽の一つに、80年代のポップス、ニューウェイヴが挙げられますが、そこに対する憧れと嫉妬がこれを作曲する動力源になってます。レコーディング時、キーボードはprophetを使用してるのでその音色にも注目してほしいです」
7. デ・ジャヴ
やお「〈退屈な午後〉という言葉からボサノヴァ・アレンジになったり、言葉と曲がお互いに刺激し合って出来上がっていった曲展開がおもしろいです。抒情的な曲だと思っています。これも夕日が似合う曲だと個人的に思っております」
8. はいからさん
大胡田「前からあった曲を、メロディーや音を変えて再構築しました。都会へ出てハイカラになってしまった近所のお兄さんへ向けて。彩色を施した夏祭りの歌です。ただお祭り騒ぎ、というだけではない、どこか思い出や作り物のような雰囲気を感じていただきたいです」
三澤「パスピエ的な〈和ロック〉という感じで、けっこう昔からライヴでよくやっていました。とにもかくにも勢いがあるので、ギター・ソロもきれいに弾いているテイクではなく、雑で勢いのあるテイクを採用しました」
9. △
露崎「タイトルもさることながら、とてもおもしろい曲になったと思います。歌い出しが三角形の公式なんてなかなかないし。特に歌のリズムを楽しんでもらいたいです。それに合わせてアレンジもいろいろなリズム遊びをしていて、そこにも注目してください」
10. ワールドエンド
露崎「印象的なギターのフレーズから始まり、スピード感のあるAメロ、そしてサビに入った時の解放感がとても気持ちのいい楽曲です。そして2番サビのあとの解放感がとても気に入っています。パスピエ的にはちょっと珍しい曲構成になっているので、そこも楽しんでください」
11. カーニバル
成田「個人的にこのアルバムでいちばん思い入れの強い曲。バンドじゃないとできないことで、自分の音楽のルーツを表現できたかと思っています。壮大に変化していく曲に対して、歌が〈語り〉的な役割を果たしているのも聴きどころの一つです」
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