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インタビュー

LONG REVIEW――Homecomings 『Homecoming with me?』



キュートなようで意外と骨太



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〈ギター・ポップ〉は日本で生まれた言葉。アメリカでは〈トゥイー・ポップ〉と呼ばれているが、〈Twee〉とは〈感傷的〉とか〈可愛らしい〉みたいな意味だったりする。

京都の大学生4人が結成したHomecomingsは、純度120%のギター・ポップを奏でるバンド。ファースト・アルバム『Homecoming with me?』で高らかに鳴り響くギター・サウンドは、80年代のUKインディー~アノラック・サウンドはもちろん、シューゲイザーを通過して近年のローファイ・ムーヴメントに至るインディー・ポップの美味しいところをたっぷり吸収。もちろん、トゥイーなエッセンスも詰まっている。

彼らが影響を受けた80年代のインディー・ポップのバンドにはポスト・パンク的なトゲが隠されていたが、Homecomingsはメロディーやハーモニーを大切にして、ギターはノイジーだけどスウィート。その屈託のない自然体の佇まいや曲作りのバランスの良さは、ドラムスやペインズ・オブ・ビーイング・ピュア・アット・ハートなど、彼らと身近な世代のバンドに通じるものがある。キュートなように見えて意外と骨太なギター・ポップ・サウンドは、シューゲイザーやグランジが再評価される昨今だからこその音だ。リヴァイヴァルではなく、いまの空気をたっぷり吸い込んでいるからこそ、Homecomingsの歌はこんなにも凛として清々しい。

今年、16年ぶりのオリジナル・アルバムを発表したアノラック界のリヴィング・レジェンド、パステルズが久しぶりに来日することになったりしたら、前座候補間違いなしだろう。先輩たちから受け継いだ音楽への愛情が、『Homecoming with me?』には活き活きと息づいている。


カテゴリ : ニューフェイズ

掲載: 2013年06月12日 18:00

更新: 2013年06月12日 18:00

文/村尾泰郎

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