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インタビュー

the GazettE “FADELESS”



来たるフル・アルバムの一端がいよいよ明かされる──ダークで気怠くて攻撃的な、メンバー全員の嗜好が封じられた〈色褪せない〉ニュー・シングル!



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今夏は2年ぶりの参加となった〈SUMMER SONIC〉に加え、ロシアで開催された〈Kubana Rock Fes〉にも出演。日本発のヘヴィー・ロック・バンドとして改めてその存在感を示したthe GazettEから、ニュー・シングル“FADELESS”が届いた。〈色褪せない〉〈しぼむことのない〉という意味の言葉をタイトルに冠した同曲は、彼らにとって約2年ぶりのシングルとなる。ここ数年はアルバムの制作に力を注ぎ、シングルは出さないというスタンスを取ってきた彼らが、あえてこの曲をシングル・カットする理由。それは「バンドの〈いま〉を象徴している曲だと思ったから」だとRUKI(ヴォーカル:以下同)は語る。

「新しいアルバムの制作に入った時、〈良い曲があったら、シングルにしてもいいよね〉という話をしてたんですよね。こういうミディアムテンポのユルい感じの曲をシングルとしてリリースしたこともなかったし、また違った部分を感じてもらえるんじゃないかな、と。メンバーの雰囲気も含めて、いまのバンドのテンションが出てるような気もするので」。

念のため断っておくが、“FADELESS”は決して〈ユルい〉曲ではない。強靭なヘヴィーネスを湛えたアンサンブル、耽美な空気を纏った旋律、サビにおける爆発的なダイナミズムがひとつになったこのナンバーは、the GazettE特有の世界観がさらに深まったことを明確に告げているのだ。

「ギターのフレーズにしても全体のサウンドにしても、俺のなかではわりとベタなロックなんですけど(笑)。まあ、根本的に好きなものは変わらないですからね。ダークだったり、気怠い感じだったり、攻撃的な音だったり……そういう音が好きなメンバーが集まっているので」。

生々しさを増したサウンドメイクも、いまの5人を象徴している。昨年発表された6作目『DIVISION』をはじめ、ここ数作ではエレクトロニクスを大幅に採り入れてきた彼らだが、このシングルではストレートなバンド・サウンドへと回帰しているのだ。

「よりバンドらしいというか、アナログ的な雰囲気はあるかもしれないですね。あと、今回の制作はメンバー全員がアレンジに参加しているんですよ。ここ数年は作曲者がイニシアティヴを取ることが多かったんだけど(the GazettEはメンバー全員が作曲を手掛ける)、そのやり方だと、どうしても作ったデモに近くなっちゃうんですよね。想像を超えるような曲にするためには、各パートのアレンジを強化したほうがいいんじゃないかな、と。“FADELESS”の作曲は俺なんですが、自分がイメージしていたサウンドとは良い意味で違ってるんですよ。アレンジには時間がかかるけど、曲が強くなるのは良いことだと思います」。

9月には約6年ぶりとなるワールド・ツアー(7か国9公演)を敢行。さらに10月にはニュー・アルバム『BEAUTIFUL DEFORMITY』のリリースも決定。メンバー全員の卓越したテクニックと個性的な音楽観を直接ぶつけ合うことで生まれる〈最新型のthe GazettE〉は、ここからより広いフィールドへ波及することになりそうだ。

「前作(『DIVISION』)と前々作(2011年作『TOXIC』)はわりとテーマがはっきりしてたんですけど、今回のアルバムはノン・コンセプト。メンバー全員の曲を入れるということは決めてますが、あとは良い曲をどんどん形にしていく感じですね。曲調も幅広くなると思います。ダークだったり、メロディアスだったり、激しい感じだったり……聴く人によって受ける印象も違うと思うけど、俺はそれでいいと思ってるんですよ。もともと、何でもできるバンドでありたいと思ってたので」。



▼the GazettEのニュー・シングル“FADELESS”(ソニー)。
左から、DVD付きの〈-Optical Impression-〉盤、3曲入りの〈-Auditory Impression-〉盤

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2013年08月27日 20:30

更新: 2013年08月27日 20:30

ソース: bounce 358号(2013年8月25日発行)

インタヴュー・文/森 朋之