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インタビュー

LONG REVIEW――VARIOUS ARTISTS 『hide TRIBUTE Ⅳ –Classical SPIRITS-』



改めて知るhideのクロスオーヴァー感覚



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今年のソロ活動20周年と、来年の生誕50周年を記念したトリビュート・アルバム〈SPIRITS〉シリーズ第4弾のテーマは〈クラシカル〉。とはいえ、一般的なオーケストラ・アレンジというのはほとんどなく、使われている楽器からしてピアノや弦楽器にとどまらない多種多様なもの。いわば、〈最新のポスト・クラシカル見本市〉のような賑やかな内容で、hideの体現していたクロスオーヴァー感覚が、しっかり注ぎ込まれた作品となっている。

まず、〈クラシカル〉という言葉のイメージに近いもので言うと、ヴァイオリン、ピアノ、フルートなどによって優美に生まれ変わった酒井健治の“In Motion”、リズムにロック・バンドのテイストを残しながら、チェロの三重奏に仕上げた村中俊之の“ROCKET DIVE”あたりが印象的。また、エレクトーンの多彩な音色を活かしたアレンジが、原曲のコミカルな雰囲気にもマッチした阿邊葉月の“Hi-Ho”もおもしろいし、インダストリアルなサウンドとオペラ風のコーラスでスケール感を出したTin toy Classicaの“ピンク スパイダー”は、インパクトという意味ではもっとも強烈だ。

使用楽器からしてユーモラスなのが、津軽三味線をフィーチャーしたはなわちえの“Beauty & Stupid”や、テルミンを使った佐藤沙恵の“GOOD-BYE”。さらに、ホーミーが何とも神秘的な雰囲気を醸し出すボルドエルデネの“JUNK STORY”もあったりと、豊かなサウンド・ヴァリエーションが耳に楽しい。ラストは唯一の歌もの、ピアノ伴奏のみでパワフルに歌い上げる大沢誉志幸 with DIEの“ピンク スパイダー”で締め括られている。

現在X JAPANでギタリストを務めるSUGIZOが、まさにポスト・クラシカル的な音楽性を得意としていたり、hideを尊敬し、いまでは自身の音楽性を確立したMIYAVIが近年に津軽三味線とコラボレートしていたり。本作は、hideのクロスオーヴァー感がロック・フィールドにもしっかり受け継がれていることを示す作品とも言えよう。




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掲載: 2013年08月28日 18:01

更新: 2013年08月28日 18:01

文/金子厚武