インタビュー

BROWN EYED SOUL 『SOUL BREEZE』



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韓国で10年活動。焙煎されて深みが増し、濃厚に薫り立つ正統派ソウルを聴かせるBROWN EYED SOULが、今回『SOUL BREEZE』で日本デビューを果たした。ブラスやストリングスが映える70年代ソウルを下敷きにした彼らの最大の持ち味は、ため息が出るような美しいハーモニーと、リード・ヴォーカルを務めるナオルの超絶アドリブ。2013年のいま、あたりを見回してもまったく鳴っていないヴィンテージなエレガンスとスウィートネスがここにある。

——本作は韓国でリリースした楽曲の日本語ヴァージョンと韓国でのライヴ音源を中心に構成されていますが、どんな思いで選曲されたんですか?

ジョンヨプ「僕たちの曲を初めて聴く日本の方に好まれそうな曲を選びました。どれもBROWN EYED SOULのイメージが染み込んでいる曲だと思っています」

ソンフン「なかでも“Love Ballad”は僕たちのカラーがちゃんと表現できていると思います。あと、“Blowing My Mind”と“Never Forget”もメンバーが愛着を持っている曲で、僕たちが標榜する感じを表していると思うので、ライヴ・ヴァージョンを入れてみました」

——今回、日本語で歌った“Love Ballad”は、もともとどんなイメージで作られた曲なんですか?

ヨンジュン「美しいラヴソングをイメージしました。“Tonight, I Celebrate My Love”(ピーボ・ブライソン&ロバータ・フラック)のようなラヴソングを書きたかったんです」

ナオル「90年代のコーラス・グループの感じも活かせたし、思ったよりは曲が甘い感じになりましたね」

ソンフン「日本語で歌うと自分たちの曲がポップスみたいに感じられて楽しかったです。特に“Love Ballad”は日本語が似合っていてオリジナルとは違う感じになったので、僕たちにとってもプラスになりました」

——もうひとつの日本語曲“さよなら(退いてあげる)”は、どんなサウンドを意識して作られたんですか?

ナオル「最近はブラス・サウンドをあまり使いませんが、僕たちは好きで。この曲はブラス・サウンドが人気だった70年代の雰囲気で作りたかったんです」

ヨンジュン「曲から感じるイメージは、苦しいというか哀しい感じですね。深い哀しみっていうよりは、別れの後の心細くてか弱い感じだと思います」

——皆さんは全員ソロ・アルバムを発表するほどの実力の持ち主ですが、それぞれ得意なことや特徴を教えてください。

ヨンジュン「僕の声は低く太いので、穏やかなトーンだと言われることが多いんです。聴きやすい、柔らかい感じで歌いたいと思ってます」

ナオル「僕は高音のヴォーカルが得意だし、そこをアピールしたいですね。日本の歌手とは違うと思っていますので、ぜひ聴いてほしいです」

ソンフン「僕はジャズから音楽を始めたので、実はヴォーカルよりピアノに自信があるんです。音楽を専攻してたから理論的にハーモニーをまとめることをしていますし、コンサートではピアノ演奏にも注目してもらいたいですね」

ジョンヨプ「僕は何を歌っても悲しく聴こえるって言われるんです。聴くと失恋したことを思い出すとか(笑)。でも、それを活かして切なさを声で表現したいですね」

——最後に、日本デビューに向けてひと言お願いします。

ヨンジュン「デビューできるのは嬉しいし、緊張もしています。今回初めて日本語で歌いましたが、曲が持っている感情は失われていないと思うし、日本の皆さんにいい歌を聴いてもらえるんじゃないかと思ってます」

ジョンヨプ「僕らは不器用なグループなんです。歌以外に何もできないから。でも、だからこそ音楽に集中していいものを作っているという自信がある。日本デビューは不安と期待、両方ですが、やっぱり楽しみのほうが大きいですし、早くライヴで日本の皆さんに会いたいです」



PROFILE/BROWN EYED SOUL


ジョンヨプ、ナオル、ヨンジュン、ソンフンから成る韓国の4人組ヴォーカル・グループ。2002年の日韓サッカー・ワールドカップの際に〈Voices of KOREA/JAPAN〉へ参加していた、ナオル擁するBROWN EYESを前身として2003年に結成。同年に初作『Soul Free』でデビュー。2007年に『The Wind, The Sea, The Rain』、2010年に『Brown Eyed Soul』をリリース。寡作ながらどの作品もチャート1位を記録し、本国では絶対的な人気を誇る。メンバー各々がソロ作を発表しているほか、他アーティストの楽曲やドラマ/映画のサントラに数多く参加するなど、グループ外活動も精力的に行うなか、日本ファースト・アルバム『SOUL BREEZE』(rhythm zone)をリリースしたばかり。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2013年11月19日 21:25

更新: 2013年11月19日 21:25

ソース: bounce 360号(2013年10月25日発行)

インタヴュー・文/猪又 孝