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インタビュー

片平里菜 『amazing sky』

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[ interview ]

 ここに完成した1stアルバム『amazing sky』は、これから長編の音楽人生を紡いでいくに違いない片平里菜の、第一章の締め括り、あるいは第一期集大成と呼ぶにふさわしい作品になった。ロックやポップのダイナミズムをここまで力強く体現できることを、1stアルバムで証明できた意味はあまりに大きい。

ひとりの人間としての闇の部分も光の部分も含めて、誤解なく<これが片平里菜です>って言えます



「自分の原点と初期衝動を感じさせる1stアルバムにしたかったんです。高校生のときに自分で曲を書いて歌いたいと思うようになって、そこからすべてが始まったので。プロのミュージシャンになりたいと思ってからは、自分が歌えなくなる恐怖心がすごくあって。もともと内向的な性格だから、人前で感情を出すのが苦手だったし。でも、歌を書いたら自分をさらけ出せたんですよね。だから、歌えなくなるのが怖い。それは今もあります。でも、そういう恐怖心やいつか大きなステージに立ってキラキラしている自分を思い描くことで、私はここまでこれたんだと思います」

福島県で生まれ育ったひとりの女の子が、アコースティックギターを持ってつま弾き、心奥に秘めた思いを言葉に綴り、そこに旋律を乗せることで、物語は始まった。物語の第一章は、彼女、片平里菜が特別な女性シンガーソングライターになるまでの話だ。そして、ここに完成した1stアルバム『amazing sky』は、これから長編の音楽人生を紡いでいくに違いない彼女の、第一章の締め括り、あるいは第一期集大成と呼ぶにふさわしい作品になった。「閃光ライオット2011」で審査員特別賞を受賞してから3年、シングル“夏の夜”でメジャーデビューを果たしてからちょうど1年の1日前に本作はリリースされる。“夏の夜”で幕を開け、デビュー前にレコーディングした“始まり”で閉じる全13曲には、彼女の歌が見せるさまざまな表情と動きが、総勢8組の多様な音楽性をもったアレンジャーたちのアシストを得て解放されている。ASIAN KUNG-FU GENERATIONの山田貴洋(“HIGH FIVE”、“CROSS ROAD”、“始まりに”)、HAWAIIAN6の安野勇太(“心は”)、亀田誠治(“Oh JANE”)、コトリンゴ(“teenage lovers”)、OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND(“amazing sky”)など、豪華な顔ぶれが編曲を務めている。だが、特筆すべきはそこじゃない。ギター1本の弾き語りで勝負できる核心があるからこそ、彼女の歌は多彩なサウンドの装飾を与えられようと物怖じしないし、揺らがない。ロックやポップのダイナミズムをここまで力強く体現できることを、1stアルバムで証明できた意味はあまりに大きい。

「全曲の作詞作曲を自分でしたという誇りと、錚々たるアレンジャーの方々に関わっていただいたことへの感謝の気持ちが強くあります。シングルだけだと、どうしても表題曲のイメージで語られがちなので、<これだけじゃないんだよ>ってもどかしい気持ちもあって。でも、やっとこのアルバムで今の私のすべてを表現して、リスナーにみなさんに触れてもらえますね。ひとりの人間としての闇の部分も光の部分も含めて、誤解なく<これが片平里菜です>って言えます。私の歌の根っこの部分を多くの人に伝えるためにポップであることの大切さも学びました。自分を受け入れてくれる世界だけで歌うのも楽しいだろうなとは思うけど、今の私はそういう立ち位置にいないし、もっともっと上にいくことを望まれているし、私も望んでるから。そういう決意が込められたアルバムでもありますね」



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タイトル曲“amazing sky”は、ライブの定番曲であり福島出身の彼女がその誠実でたくましい人間力と音楽力があらわになっている。アレンジは、前記したとおりOVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND。彼女はOAUのアイリッシュ/ケルト音楽のフィールドに堂々と立ち、故郷を思いながら見上げる大きな空に向かって放たれている。

「この曲も10代のときに書きました。何をしていても孤独感があるときに空を見上げたらすごく想像力が湧いたんですよね。世の中にはもっと大変な状況で踏ん張っている人がいるんだって。自分を救済するために書いた曲なんですけど、震災以降、被災地に通うようになって意味合いが変わってきて。より目の前にいる人たちにまっすぐ向かって歌えるようになった。あらためて、この曲が私の核だと思ったし、ここで歌っている愛や痛みがこのアルバムを象徴していると思ってアルバムタイトルにもしました」

インタビューの最後に彼女はこうつぶやいた。「ロックバンドやパンクバンドに勝ちたいんですよね。ソロのシンガーソングライターとしてそれくらい熱量のある曲を作って、ライブがしたいんです」と。これからも片平里菜が片平里菜であることを貫けば、間違いなくそういう歌うたいになれるはずだ。

 

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■Album…『amazing sky』 now on sale!!

■song list

01.夏の夜

02.tiny room

03.HIGH FIVE

04.女の子は泣かない

05.あなた

06.teenage lovers

07.CROSS ROAD

08.Hey boy!

09.Oh JANE

10.心は

11.Come Back Home

12.amazing sky

13.始まりに

■Profile……片平里菜(かたひら りな)

福島県福島市出身 22歳シンガーソングライター。
「閃光ライオット2011」にて1万組の中から審査員特別賞を受賞。2013年8月7日“夏の夜”のメジャーデビューから1年を経て、待望の1stアルバム『amazing sky』をリリース。

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記事内容:TOWER+ 2014/8/10号より掲載

カテゴリ : COVER ARTIST

掲載: 2014年08月09日 00:00

ソース: 2014/8/10

取材・文/三宅正一(ONBU)