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第44回――ビル・ウィザーズ

メロディーとグルーヴの両面からリサイクルされるビル・ウィザーズの名曲たち

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2010/04/28   21:00
更新
2010/04/28   21:17
ソース
bounce 319号 (2010年3月25日発行)
テキスト
文/出嶌孝次

 

過日のハイチ支援コンサートでキッド・ロックらが“Lean On Me”を歌ったことからもわかるように、ビルの曲は演者の属性を問わない普遍的な浸透力を備えている。ゆえにリサイクル例も限りないわけだが、“Lean On Me”で言えば86年に登場したクラブ・ヌーヴォー版も原曲同様に全米1位に輝いていたり、その効力は時代すらも選ばない。MJが“Ain't No Sunshine”を、エスター・フィリップスが“Let Me In Your Life”(アレサ・フランクリン版もお馴染み)と“Use Me”を原曲から間を置かずに取り上げているのも、ビル曲の〈世に出た瞬間にクラシック〉な魅力を証明するものだ。また、グレイス・ジョーンズやミック・ジャガーによる“Use Me”や、ミシェル・ンデゲオチェロの“Who Is He(And What Is He to You)?”などは原曲のグルーヴに潜む苦みを弁えた納得の仕事ぶりだし、“Grandma's Hands”のハミングをループしたブラックストリート“No Diggity”からもそのクールネスは滲み出てくる。一方、ビルのメロウ(明朗)サイドを代表する“Lovely Day”(ルーサーも遺作で披露)は、TWDYやGHETTO INCらによる〈Gの休日アンセム〉的なリメイクがいずれも美味。特にアンソニー・ハミルトンを招いたトゥイスタの“Sunshine”は必聴だ。

 

▼関連盤を紹介。

左から、クラブ・ヌーヴォーの86年作『Life, Love & Pain』(Warner Bros.)、マイケル・ジャクソンの71年作『Got To Be There』(Motown)、エスター・フィリップスの72年作『Alone Again, Naturally』(Kudu)、グレイス・ジョーンズの81年作『Nightclubbing』(Island)、ミシェル・ンデゲオチェロの96年作『Peace Beyond Passion』(Maverick)、ブラックストリートの96年作『Another Level』(Interscope)、ルーサー・ヴァンドロスの2003年作『Dance With My Father』(J)、トゥイスタの2004年作『Kamikaze』(Atlantic)

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