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第44回――ビル・ウィザーズ

春はリイシューの季節なのですか

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2010/04/28   21:00
更新
2010/04/28   21:17
ソース
bounce 319号 (2010年3月25日発行)
テキスト
文/出嶌孝次

 

まずは定期的に届けられる女王ダイアナ・ロスのデラックス盤。今度はキャリア屈指の名盤のひとつとなる73年作が2枚組の『Touch Me In The Morning: Expanded Edition』(Motown/Hip-O-Select)にて登場! 表題曲のヒットを生んだ端麗な本編はもちろん、注目はその原型となるお蔵入りアルバム『To The Baby』を収めたDisc-2でしょう。ベリー・ゴーディ&最初の夫との間に連続で娘を授かった時期の録音だけに母性を強調した優しい作り。マイケル・ジャクソンのカヴァー“Got To Be There”などが聴きモノです。

で、そのマイケルどころじゃない3歳児(!)のキュービーを擁したファイヴ・ステアステップスの68年作『Love's Happening』(Curtom/Collectors' Choice/DIZZARE)がついに初CD化! イクラちゃん状態のキュービーはさておき、兄姉5人の実力はホンモノ。別掲で紹介したビル・ウィザーズ『Menagerie』で後に活躍するケニ・バークもメンバーですよ。カーティス・メイフィールドの手による王道シカゴ・マナーも芳しく、ネタ人気の高いファンキーな“Don't Change Your Love”もここで聴けます。

で、兄弟グループ繋がりでは、デバージ家の長兄2人らによるスウィッチの80年作『This Is My Dream』(Motown/Vinyl Masterpiece)もCD化。バンド感を残したファンクからライトなアーバン志向がさらに強まってきた時期の佳作で、妹のバニー・デバージがすでにソングライトを手掛けていたりするのもポイントですね。

80年代モノなら、デニース・ウイリアムスの82年作『Niecy』(ARC/Columbia/Reel Music)にも注目。前後の作品からビッグ・ヒットを生んだ彼女だけに重視されてこなかったようですが、トム・ベルの手掛けた素晴らしい出来映えをアルバム単位で堪能していただきたいものです。

で、いきなり60年代に遡って……モータウンと同じデトロイトで帝国に背を向けて活躍した名プロデューサー、ドン・デイヴィスの仕事を追いつつデトロイト・ソウル史の一端が把握できる良質コンピ『Groovesville USA -24 Ultimate Detroit Soul Classics』(Outta Sight)もマスト! ジョニー・テイラーやオージェイズ、パーラメンツ、トニー・ヘスターなどこの後に各々ブレイクする面々が原石の輝きを持ち寄ったような感じで、ノーザン好きの人も迷う必要ナシですよ!

最後はジャケからして一味違うダーウィンズ・セオリーの『Darwin's Theory』(Lotus Land/MAGNUM CAT)。これはスライのセッション・ミュージシャンが78年に録音していた音源の蔵出しで、適度な洗練味がメチャクチャ気持ち良いモダン・ソウルの宝石箱。いや~、イイのばっか出ますね。

 

▼文中に登場した作品を紹介。

左から、ダイアナ・ロス『Touch Me In The Morning: Expanded Edition』(Motown/Hip-O-Select)、ファイヴ・ステアステップス『Love's Happening』(Curtom/Collectors' Choice/DIZZARE)、スウィッチ『This Is My Dream』(Motown/Vinyl Masterpiece)、デニース・ウィリアムス『Niecy』(ARC/Columbia/Reel Music)、コンピ『Groovesville USA -24 Ultimate Detroit Soul Classics』(Outta Sight)、ダーウィンズ・セオリー『Darwin's Theory』(Lotus Land/MAGNUM CAT)