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第44回――ビル・ウィザーズ

オーガニックに拡張している現代のフォーキーなソウル

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2010/04/28   21:00
更新
2010/04/28   21:17
ソース
bounce 319号 (2010年3月25日発行)
テキスト
文/林 剛

 

時代や流行が変わっても〈フォーキーなソウル〉は普遍的な音楽として生き続け、フォーキーなサウンドを個性とするアーティストの登場も絶え間ない。最近ならリンダ・ルイスの再来的な騒がれ方をしたコリーヌ・ベイリー・レイ(特にデビュー作)がその筆頭に挙がりそうだが、ソウル/R&B系のアーティストに限って言うなら、〈オーガニック・ソウル〉という言葉で括られる面々のなかにフォーキーな音楽をやっている人が多いことに気付く。『Acoustic Soul』というアルバムでブレイクしたインディア・アリーはその最右翼で、アコースティックなスタイルを貫く姿勢は、まるで70年代初頭のビル・ウィザーズのようだ。また、そのインディアとはアトランタの地元仲間で共演もあるアンソニー・デヴィッドもギターを抱えてフォーキーなソウルを歌う人で、そのほろ苦い歌声はビルを彷彿とさせた。歌声で言うなら、やはり焦げたような歌声がビルに似たアンソニー・ハミルトンもそうだし、声質は違うがジョン・レジェンドやキート・ヤングなどもビルの雰囲気を持つアーティストだろう。また、UKのヴィクター・デイヴィスもフォーキー・ソウルの権化とでも言うべき人。その源流を辿るとシャーデーが見えてきたりもするが、その最新作はフォーキー・ソウルの進化形とも言えるものだった。

 

▼関連盤を紹介。

左から、コリーヌ・ベイリー・レイの2006年作『Corinne Bailey Rae』(EMI)、インディア・アリーの2001年作『Acoustic Soul』(Motown)、アンソニー・デヴィッドの2004年作『3 Chords & The Truth』(Brash)、アンソニー・ハミルトンの2005年作『Ain't Nobody Worryin'』(So So Def/Jive)、ヴィクター・デイヴィスの2006年作『Here The Sound』(Afro Gigolo)

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