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鈴木晶氏「ディアギレフ―美を追い続けた男」講演会レポート(7月6日)その2

7月6日(日)国立新美術館3階講堂にて舞踏評論家、法政大学教授、早稲田大学大学院客員教授の鈴木晶氏による講演会が行われました。ここでは鈴木晶氏が紹介された「バレエ・リュス」の主要作品を掲載します。
(ご紹介するCD、DVDはタワーレコードが選んだものです)

<バレエ・リュス主要作品紹介>

1.ポロヴェツ人の踊り(1909年初演)
フォーキン振付時代(1909-12)最大のヒット作。男性による勇壮な踊りがパリの聴衆に受けました。音楽はボロディンの「だったん人の踊り」として有名な作品。鈴木氏は「だったん人」(=タタール人)は誤訳で、「ポロヴェツ人」が正しいと指摘されました。ご紹介するCDはバレエ・リュスの指揮者だったアンセルメによるものと、スラヴ系の名指揮者マタチッチによるものです。

2.シェヘラザード(1910年初演)
アラビアン・ナイトの世界をバレエ化。舞台衣装のハーレム・パンツや男性用ブラジャーがパリで大ヒットしました。ご紹介するCDは、バレエ・リュス公演を含め、この曲を千回も指揮したアンセルメによるもの、やはりこの作品を得意とした名指揮者ストコフスキーによるものです。

3.薔薇の精(1911年初演)
フォーキン振付時代にニジンスキーが主演し、男か女か分からないユニセックスの新しいスターとなりました。ご紹介するCDはディアギレフに見出された最後の天才児で後に大指揮者となったマルケヴィチによるもの、バレエ・リュス・ド・モンテカルロで活躍したフィストラーリによるものです。

4.春の祭典(1913年初演)
斬新な音楽とともに、ニジンスキーのバレエを否定したような振付が賛否両論を巻き起こしました。ニジンスキーはノーテーションを書き残しており、近年その解読に成功し、オリジナルの振付で踊られるようになりました。ご紹介するDVDはマリインスキー劇場でのオリジナル振付復活上演の映像作品、CDは初演当時の楽器と楽譜を使ったロト指揮によるものです。

5.パラード(1917年初演)
マシーン振付時代(1914-20)の作品。台本はコクトー、音楽はサティ、舞台装置はピカソ、パンフレットはアポリネールが著すなど、天才が集いました。マシーンは「中国の手品師」を自らコミカルに踊りました。ご紹介するCDは前出のマルケヴィチによるものと、バレエ・リュスと同時代を生きたフランスの名指揮者ロザンタールによるものです。

6.奇妙な店(1919年初演)
バレエ・リュスをモデルとしたアメリカ映画「赤い靴」に、「奇妙な店」の1シーンが使われています。ご紹介するDVDは映画「赤い靴」デジタルリマスター版、CDはアンセルメ指揮によるものです。

7.三角帽子(1919年初演)
音楽はファリャ、舞台装置はピカソ、振付はマシーン。マシーンは自ら粉屋役で出演しました。フラメンコを採り入れ、誰もトウシューズを履かない、モダンな振付でした。ご紹介するCDは初演者アンセルメによるものと、アンセルメの弟子のデュトワが指揮したものです。

8.結婚(1923年初演)
ストラヴィンスキーが作曲したバレエ・カンタータで、バレエ・リュスの最高傑作と呼ばれています。ニジンスカ演出時代(1920-25)の作品。ニジンスカはトウシューズを復活。ロシアの女性画家ゴンチャローワのロシア的でモダンな衣装も注目されます。また題名につき「結婚」より「結婚式」と訳した方が内容を正しく示した題となる、と指摘されました。ご紹介するDVDはロイヤル・バレエ団による映像作品、CDは作曲者ストラヴィンスキーの自作自演集です。

9.青い汽車(1924年初演)
コートダジュールへのリゾート列車をテーマとした作品。ココ・シャネルが衣裳を担当し、ニットの水着など、1920年代のフランスのファッションを反映させました。ご紹介するCDはライマー指揮による現在唯一のCDです。

10.ミューズを導くアポロ(1928年初演)
バランシン振付時代(1926-29)の作品。バランシンの特徴である「形のバレエ」がすでに表れています。ご紹介するCDはマルケヴィチ指揮によるものと、現代の名指揮者シャイー指揮(2枚目に収録)によるものです。

11.放蕩息子(1929年初演)
「バレエ・リュス」最後の作品。フランス野獣派の画家、ルオーが舞台装置を担当。この後、ディアギレフが急死し、バレエ団は一家離散状態になります。ただ、離散したダンサーや振付師がフランス(パリ・オペラ座)、イギリス(ロイヤル・バレエ)、アメリカ(アメリカン・バレエ・シアター)で活躍し、現在のバレエの世界的な興隆につながっています。ご紹介するCDはロシアの名指揮者ロジェストヴェンスキーによるものと、アメリカの女性指揮者オールソップによるものです。

カテゴリ : Classical

掲載: 2014年06月18日 19:30