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マーク・マグワイヤ、大胆不敵で勇敢なスピリチャル・ドリーム・ポップ

Mark McGuire

 

2013年のフルアルバム『Along The Way』に続き、2014年にはEP『Noctilucence』を発表し(※アメリカは共にDead Oceanよりリリース)、新しい作品ごとに新たなサウンドパレットを広げてスケールアップを果たしてきたマーク・マグワイヤ。本名名義以外にもR&Bの影響を受けた作風のRoad Cheif名義で米Casineレーベルよりアルバム『All My Love』をカセットでリリースしたり、Afghan Whigs(SUB POP)のレコーディングに参加するなど、精力的な活動を行っている。

そして、2年ぶりのフルアルバムとなる新作『Beyond Belief』が完成。本作は、2013年4月~2015年6月の間、オレゴン、カリフォルニア、テキサス、オハイオなどアメリカの様々な場所でレコーディングしてきたというアルバム。たくさんのエフェクターを操る卓越したギター演奏をはじめ、ベース、シンセ、ピアノ、リズムなど、すべてのサウンドをマーク本人が演奏。マニュエル・ゲッチングやロバート・フリップを彷彿させる勇壮かつサイケデリックなギターや、ブライアン・イーノのアンビエント、またはヤソスのニューエイジ・サウンドなど、70年代音楽の要素を感じさせつつも、それらを現代的なエレクトロニカやインディー・ポップなど、マーク独自のフィルターに通して折衷していく唯一無比の音楽スタイルは本作でさらに洗練され、厚みを増している。アルバム全9曲を通し、緩急のあるスピード感を伴いながらエモーショナルでドリーミーなサウンドが次々と流れるように展開していく様は、まるで音の風景の中をドライブしているような感覚。本作でも『Along The Way』に続き、マーク本人の透明なボーカルをフィーチャーしたトラックが数曲収録。また、ライナノーツには空想的な物語が曲ごとに添えられており、ほとんど言葉のない楽曲の世界に楽しさや深みを与えている。

約80分に及ぶ、勇敢で大胆不敵な本作『Beyond Belief』はマーク・マグワイヤの現時点での最高傑作だと言えるだろう。しかし、彼のヴィジョンにはまだ終わりは見えていないので、このような評価をするのはまだ早すぎるかもしれない。

 

 

タグ : UK/US INDIE クラブ/テクノ

掲載: 2015年12月25日 10:59