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日本先行発売!アファナシエフの最新作は、「テスタメント(遺言)」と題された6枚組。SACDハイブリッド盤

ヴァレリー・アファナシエフ

現代クラシック・ピアノ界の鬼才、ヴァレリー・アファナシエフ。70歳を越え、ますますその独自の演奏解釈が深みを増しています。アファナシエフの新作は何と「テスタメント(遺言)」と題された6枚組という超弩級のボックスセット。タイトル通り、アファナシエフが現在どうしても後世に残しておきたいという作品の演奏を収録したもので、一部の小品を除きアファナシエフにとって初録音。2017年4月と7月、ドイツのフィアゼンにおける2回・6日間のセッションで集中的に収録されました。
レパートリーはハイドン、ベートーヴェン、シューベルト、シューマンという独墺音楽のほか、これまでアファナシエフの録音にはほとんどなかったビゼー、フランク、ドビュッシーというフランス音楽、そして彼の音楽的故郷の一つであるプロコフィエフ(しかも「戦争ソナタ」三部作のうちの随一の大作、ソナタ第6番を収録)という多彩なものです。
完全生産限定盤 ハイブリッドディスク(SACD層は2ch) 6枚組
(ソニー・ミュージック)

【収録予定曲】(内容・ディスク順・曲順変更の可能性もあります)

DISC1  ハイドン

ハイドン
1-3  ピアノ・ソナタ 第20番 ハ短調 Hob. XVI: 20 [29:17]
4-6  ピアノ・ソナタ 第23番 ト長調 Hob. XVI: 23 [20:11]
7-8  ピアノ・ソナタ 第44番 ト短調 Hob. XVI: 44 [14:42]

ハイドンのピアノ曲はアファナシエフにとって初録音。過去にハイドン録音はなかった。  

DISC2  ベートーヴェン

ベートーヴェン
1-4  ピアノ・ソナタ 第4番 変ホ長調 作品7 [35:33]
5-7  ピアノ・ソナタ 第16番 ト長調 作品31の1 [27:59]
8-9  ピアノ・ソナタ 第19番 ト短調 作品49の1 [9:02]  

ベートーヴェンは師ギレリスの影響もあってか、アファナシエフにとって中心的なレパートリーの作曲家であり、アファナシエフがこれまで録音したベートーヴェンのソナタは第1・7・8・10・14・15・17・23・27・30・31・32番の12曲(ほかに第3番と第12番からのそれぞれ一つの楽章のライヴ録音がある)。第17番「テンペスト」、第30~32番には複数の録音(いずれもライヴ)がある。大作ディアベリ変奏曲、2つのバガテル集(1987年、日本での初録音)のほか、5曲のピアノ協奏曲は、スダーン/モーツァルテウム管という意外な組み合わせでの全集がある。なお一時期だけ力を入れていた指揮者としての録音では、モスクワ放送響を振った「田園」と「コリオラン」序曲がある。  

DISC3  シューベルト

シューベルト
1-3  ピアノ・ソナタ 第4番 イ短調 D. 537 (作品164)[ 27:35]
5-8  4つの即興曲 D. 935 (作品142) [32:11]

シューベルトはアファナシエフが偏愛する作曲家であり、最後の三大ソナタは、ブラームスの間奏曲集と並び彼のリサイタルには欠かせない重要な演目である。またアファナシエフにとって最初のソロCDとなったのもシューベルトで、1985年のロッケンハウス音楽祭における第21番の壮絶なライヴ録音はECMレーベルでワールドワイドで発売され、その個性的なピアニズムが大きくクローズアップされるきっかけとなった。またその遥か前、1972年のエリーザベト国際コンクールでの優勝に際して、本選でのライヴとその直後のセッション録音とが残されているのもシューベルトのソナタ第13番であった。ソナタでは、第13・14・16・17・18・19・20・21番があり、そのほかに「3つのピアノ曲」、楽興の時、クレーメルとの幻想曲、グリマルとのソナチネ集、ヴァン・ダムとの「白鳥の歌」がある。D.935の即興曲集からは第2番のみ2010年の紀尾井ホールでのライヴがある。  

DISC4  シューマン


シューマン
1-4  ピアノ・ソナタ第1番 嬰ヘ短調 作品11 [36:38]
5-7  3つの幻想小曲集 作品111 [13:29]
8     アラベスク ハ長調 作品18 [8:55]

アファナシエフのシューマンといえば、戯曲仕立てにした「クライスレリアーナ」が知られている。「クライスレリアーナ」の最初のセッション録音とカップリングされていた「森の情景」、日本でのライヴ録音である「子供の情景」、「交響的練習曲」、小品集「オマージュ&エクスタシー」に含まれていた「クララ・ヴィークの主題による変奏曲」がある。セッションにしろライヴにしろまだ録音は公刊されていないが、ピアノ協奏曲もアファナシエフ長年のレパートリーで、1989年の山田一雄指揮東京都響との共演は、同時期のドレヴァンツ指揮N響とのブラームス第2番と共に、ピアノとオーケストラが合わずチグハグなまま進行したいわくつきの演奏だった。 

DISC5  ビゼー フランク ドビュッシー

ビゼー
1 演奏会用半音階的幻想曲 [16:34]
フランク
2-4  前奏曲、コラールとフーガ [24:22]
ドビュッシー
5-8  ベルガマスク組曲  [20:48]

アファナシエフによるフランス系の録音はほとんどない。ドビュッシーでは「前奏曲集第1巻」からの「雪の上の足跡」、「帆」、「沈める寺」の3曲のみ。ビゼーはグールドが録音したことで知られるようになった変奏曲。  

DISC6  プロコフィエフ

プロコフィエフ
1-4   ピアノ・ソナタ 第6番 イ長調 作品82 「戦争ソナタ」 [37:16]
        10の小品 作品12より
5      第6曲 伝説曲 作品12の6  [2:58]
6      第2曲 ガヴォット 作品12の2 [3:33]
7-11  風刺 作品17 [15:58]


ソ連出身のアファナシエフは、ムソルグスキーの「展覧会の絵」とエリーザベト国際コンクール優勝時のチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番以外は、ロシアの作曲家の大規模なピアノ曲の録音を残していない。プロコフィエフの「風刺」の第4曲と第5曲は、エリーザベト国際コンクール優勝の直後の1972年6月、メロディア・レーベルのためにブリュッセルでセッション録音を行っており、シューベルトの即興曲D.935の第2番と並び、当6枚組のうち唯一の再録音となる。  

ヴァレリー・アファナシエフ (ピアノ/ベーゼンドルファー・インペリアル)

[録音]2017年4月24日~26日(DISC1, 2, 5)、7月3日~5日(DISC3, 4, 6)、ドイツ、フィアゼン、フェストハレ (DSDレコーディング)
[プロデューサー]ゲルハルト・ベッツ
[レコーディング・エンジニア]フィリップ・ネーデル (b-sharp Berlin)
[ピアノ調律]ゲルト・フィンケンシュタイン



録音場所 ドイツ フィアゼン フェストハレ

Viersen Festhalle (Photo from the early 20th century, originally called Stadthalle)
デュセルドルフ近郊のフィアゼン(フィーアゼン)にあるコンサート・ホール、フェストハレは、1913年にオイゲン・フライリングスドルフの設計により建立された。第2次大戦の戦禍にもほとんど影響を受けず、戦後もすぐに使用されるようになった。客席は約1000席で、優れた音響効果と遮音性を持つ。1947年から49年にかけては、NWDR北西ドイツ放送(後のWDR西ドイツ放送)による北西ドイツ放送交響楽団(現WDRケルン放送交響楽団)の放送用の録音が数多く行われた。1955年の雑誌に掲載された20人の指揮者による「世界で最も音響のいいコンサートホール」についての投票で、ブレーメンの「グロッケ」と並んで「ドイツで最も音響のいいホール」に選定されたこともある。 アファナシエフは、2000年12月のデンオンへのリストのピアノ・ソナタ他の録音をこのホールで行っている。今回はそれ以来17年ぶりのこのホールでの録音となった。
 

録音スタッフ

プロデューサー・・・・・・ゲルハルト・ベッツ
1991年の「展覧会の絵」に始まるヨーロッパにおけるアファナシエフのデンオン録音のほとんどすべてをプロデュース。アファナシエフがデンオンを離れてからしばらく間が空いて、2015年のソニー・クラシカルへのベートーヴェンの三大ソナタの録音で久しぶりにアファナシエフと再会。ドイツ・ランダウ在住。地元の教会合唱団の指揮者でもある。

レコーディング・エンジニア・・・・・・・フィリップ・ネーデル (b-sharp Berlin)
テルデックでエンジニアとしての仕事を開始。ボストンのジョン・ニュートン主宰の「サウンドミラー」に所属したこともある。2000年にベルリンにレコーディング・チーム、b-sharpを設立。その優れたプロデュース、エンジニアリング力によって、テルデックス・スタジオと並ぶベルリンのクラシック・プロダクションの雄となっている。自主レーベルも手掛け、ベルリン・コンツェルトハウス室内管弦楽団のアルバムをリリース。

ピアノ調律・・・・・・・ゲルト・フィンケンシュタイン
数多くのピアニストから厚い信頼を寄せられている、ハンブルク近郊エルツェに本拠を置くピアノ調律師・製作者。長年アンジェラ・ヒューイットのソロ録音の調律を手掛けている。

【プロフィール】
1947年モスクワ生まれ。モスクワ音楽院でヤーコブ・ザークとエミール・ギレリスに師事。1968年のバッハ国際音楽コンクール(ライプツィヒ)、1972年のエリザベート王妃国際音楽コンクール(ブリュッセル)で優勝を飾る。特に、エリザベート・コンクール優勝時の演奏は、まるでクリスタルのような美しい音色を響かせていた、と伝説のように語り継がれている。1973年モスクワ音楽院を卒業後、レニングラード・フィルなどとの共演、ソ連国内のツアーを行ったが、1974年にベルギーへ亡命した。以後、ヨーロッパ、アメリカ各地でリサイタルを行うほか、ベルリン・フィルをはじめとした著名なオーケストラと共演を重ねてきた。1983年にヴァイオリニストのギドン・クレーメルの共演者として初来日。1987年の第3回《東京の夏》音楽祭のソロ・リサイタルでは、熱狂的な成功を収める。また、1994年の第10回《東京の夏》音楽祭では、ピアニストであるアファナシエフが作曲者ムソルグスキーと対話しながら演奏する音楽劇『展覧会の絵』を自作自演で上演して、反響を呼ぶ。この楽劇は、2009年にも再演され、前回の内容とは違う魅力を披露し評判となった。2001年来日公演の模様は、NHK教育テレビ「芸術劇場」で放映され幅広い熱烈なファンを?む。また、2003年の来日公演では、ベートーヴェン:最後の3つのソナタを演奏。サントリーホールでの演奏会の模様がライヴ録音され、2004年に若林工房から発売。タワーレコードのクラシカルチャートで、第1位を獲得した。
これまでにドイツ・グラモフォン、DENON(コロムビア)、ECM、若林工房などから40枚以上のCDをリリース。1992年「ブラームス:後期ピアノ作品集」DENON、収録曲(3つの間奏曲 作品117、6つのピアノ曲 作品118、4つのピアノ曲 作品119)がレコード・アカデミー賞(器楽曲部門)を受賞。一躍、高名なピアニストとして名声を得る。来日のたび、新録音のリリースのたびに、その独自の音楽性が論議を呼び、音楽界に大きな刺激をもたらしている。 ピアノ演奏にとどまらず、『失跡』、『バビロン没落』、『ルートヴィヒ二世』などの小説を発表する文学者の顔を持っている。フランス、ドイツ、ロシアでの出版に加えて、日本でも2001年、エッセイ集『音楽と文学の間?ドッペルゲンガーの鏡像』、2009年、詩集『乾いた沈黙』、2011年、現代思想集『天空の沈黙 音楽とは何か』、2012年エッセイ集『ピアニストのノート』、2014年には、短編集『妙なるテンポ』が出版された。また2014年6月16日東京・銀座にて、吉本ばななと対談し、大きな話題となった。ナボコフ、ボルヘス、ベケット、カフカ、ジョイスなどを愛読し、ヴィトゲンシュタイン、道教思想、インド哲学に傾倒していることでも知られている。 2008年3月には、アファナシエフのドキュメンタリー番組「漂泊のピアニスト アファナシエフ もののあはれを弾く」がNHKハイビジョン特集で放送された。また、大好評により2012年7月、2013年1月にもNHK BSプレミアムにより再放送された。
現在は、ブリュッセルを拠点に活動。現代におけるカリスマ的ピアニストとして注目を集め続けている。

カテゴリ : ニューリリース | タグ : SACDハイブリッド(クラシック) 高音質(クラシック)

掲載: 2018年10月12日 00:00

更新: 2019年03月01日 00:00