注目アイテム詳細

初出!エディト・パイネマン/1952-1965年 南西ドイツ放送スタジオ録音集(5枚組)

エディト・パイネマンSWR録音集

感涙!パイネマン最初期の録音が一挙登場!

公式録音数が極端に少なく、幻のヴァイオリニストとも呼ばれるパイネマンが、1952年から65年に南西ドイツ放送で行った放送用スタジオ録音が一挙BOX化。いずれもメディアとして公式に発売されるのは今回が初めてとなり、ファンにとって大いに歓迎されるものとなるでしょう。その内容も注目に値するもので、父親ロベルト・パイネマン(エディトの生地マインツのオーケストラでコンサートマスターを務めていました)のピアノ伴奏による初々しいバロックと、早熟の片鱗をうかがわせるレーガーとヒンデミットという、15~16歳の最初期の録音も収録しています。得意としたシベリウスなどの協奏曲を二十代の瑞々しい演奏で堪能することが出来るもの魅力。またロスバウトが振るプフィッツナーは彼の最後の演奏・録音となっており、巨匠はこの直後12月29日に亡くなっています。ちなみにレーベルの資料によると、初期の録音ではチェコに近いクリンゲンタールのフィエカー製ヴァイオリン、あるいは1720年頃ロンドンのダニエル・パーカー製作の楽器を使用しており、1965年には1732年製グァルネッリ(Guarneri del Gesu)を入手したとのことです。SWRが保有するマスターテープから最新のリマスターが行われており、モノラルながらたいへん聴きやすい音となっています。
(ナクソス・ジャパン)

エディト・パイネマン(1937-)/1952-1965年 南西ドイツ放送スタジオ録音集
【DISC 1】
1.    ヴィターリ(1663–1745):シャコンヌ ト短調
2-5:  ヘンデル(1685–1759):ヴァイオリン・ソナタ ホ長調
6-11: レーガー(1873–1916):ヴァイオリンとピアノのための組曲 イ短調 Op.103a
12:   ヒンデミット(1895–1963):ヴァイオリンとピアノのための瞑想曲
13-16:フランク(1822–1890):ヴァイオリン・ソナタ イ長調

ロベルト・パイネマン(ピアノ)…1-12
ハインリヒ・バウムガルトナー(ピアノ)…13-16
録音:
1952年12月12日 Mainz,Deutschhaus, Kammersaal…1-5
1953年6月12日 Mainz,Deutschhaus, Kammersaal…6-12
1957年1月25日 Stuttgart-Untertürkheim, Krone…13-16

【DISC 2】
1-4: J.S.バッハ(1685–1750):無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番 ト短調 BWV1001
5-7: J.S.バッハ:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ホ短調 BWV1023
8-11:ベートーヴェン(1770–1827):ヴァイオリン・ソナタ第7番 ハ短調 Op.30-2
12:  バルトーク(1881–1945):狂詩曲 第1番 Sz.86
13:  ラヴェル(1875–1937):ツィガーヌ

ゲオルク・トゥーサン(チェンバロ)、ハルトムート・エステルレ(チェロ)…5-7
ヘルムート・バルト(ピアノ)…8-13
録音:
1957年1月25日 Stuttgart-Untertürkheim, Krone…1-4
1957年1月31日 Mainz,Staatliches Institut für Musik…5-7
1962年12月13日 Mainz, SWF, FS…8-11
1962年12月12日 Mainz, SWF, FS…12、13

【DISC 3】
1:   ラヴェル:ハバネラ形式の小品(ジョルジュ・カトリーヌ編)
2-5: スーク(1874–1935):4つの小品
6-8: モーツァルト(1756–1791):ヴァイオリン・ソナタ 変ロ長調 K.378
9-11:シューマン(1810–1856):ヴァイオリン・ソナタ第1番 イ短調 Op.105

マリア・ベルクマン(ピアノ)…1、6-11 ヘルムート・バルト(ピアノ)…2-5
録音:
1962年12月23日 Baden-Baden,Hans-Rosbaud-Studio…1
1962年12月12日 Mainz, SWF, FS…2-5
1965年9月18日 Baden-Baden,Hans-Rosbaud-Studio…6-11

【DISC 4】
1-3:ドヴォルザーク(1841–1904):ヴァイオリン協奏曲 イ短調 Op.53
4-6:バルトーク:ヴァイオリン協奏曲 第2番 Sz.112

ハンス・ミュラー=クライ(指揮) シュトゥットガルト放送交響楽団…1-3
ハンス・ロスバウト(指揮) 南西ドイツ放送交響楽団バーデンバーデン…4-6
録音:
1958年3月5日 Stuttgart, SDR, Villa Berg…1-3
1957年12月21日 Baden-Baden, Hans-Rosbaud-Studio…4-6

【DISC 5】
1-3:プフィッツナー(1869–1949):ヴァイオリン協奏曲 ロ短調 Op.34
4-6:シベリウス(1865–1957):ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 Op.47

ハンス・ロスバウト(指揮) 南西ドイツ放送交響楽団バーデンバーデン…1-3
エルネスト・ブール(指揮) 南西ドイツ放送交響楽団バーデンバーデン…4-6
録音:
1957年12月21日 Baden-Baden, Hans-Rosbaud-Studio…1-3
1965年9月16日 Baden-Baden, Hans-Rosbaud-Studio…4-6

エディト・パイネマン 人と芸術

流麗なテクニックと繊細な音色を駆使して旋律を陰影深く描き出す名手にして、類稀な美貌の持ち主。1960年代から70年代にヨーロッパやアメリカ、そして南アフリカで華やかに活躍し、高い評価を獲得しながら、録音が極めて少ないことで知る人ぞ知る存在となっていたドイツの女性ヴァイオリニスト、エディト・パイネマン。これはその空白を埋める極めて貴重な録音集です。

1937年3月3日、彼女はマインツで同市のオーケストラのコンサートマスター、ロベルト・パイネマンの娘として生まれました。4歳より父にヴァイオリンを学び、14歳よりハインツ・シュタンスケ(1909~96)に師事。1954年に実業家、政治家で楽譜出版社のヘンレ社の創業者でもあるギュンター・ヘンレ(1899~1979)が後援者となり、彼の支援によりロンドンに留学し、ギルドホール音楽院のマックス・ロスタル(1905~91)に師事しました。

1956年、19歳で難関として知られるミュンヘン国際音楽コンクールで優勝。審査員の一人だった指揮者のウィリアム・スタインバーグ(1899~1978)の招きで1962年にピッツバーグ交響楽団のソリストに立ち、これが彼女のアメリカ・デビューとなりました。同年、ジョージ・セル(1897~1970)が代役のソリストを探していたところ、マックス・ルドルフ(1902~95)の推薦により彼女を招きました。クリーヴランド・デビューとなったドヴォルザークの協奏曲は大成功を収め、以来、巨匠セルと彼女は深い友情で結ばれることとなります。

1964年、ケルンでベートーヴェンの協奏曲を共演したセルは、コンサート後のパーティでヘンレに、彼女により良い楽器を貸与するように勧めました。同年クリスマスの直前、セルはヴァイオリン・ディーラーに5本の名器(2本のグァルネリと3本のストラディヴァリ)をチューリヒまで持ってこさせ、ホールを借りて彼女に試奏させました。そして、セルが5本の中から選んだ1732年製のグァルネリが彼女の楽器となりました。1965年にはカーネギーホールでセル指揮クリーヴランド管弦楽団をバックにベートーヴェンの協奏曲を演奏。その後、セルが1970年に亡くなるまで、1966-67シーズンにはバルトークの第2番を、1969-70シーズンにはモーツァルトの第3番を共演しました。

1970年代に入ると演奏活動と並行して教育活動にも熱心に取り組むようになり、1976年にフランクフルト音楽・舞台芸術大学のヴァイオリン科の教授となり、クリーヴランド音楽院、インディアナ大学、ルツェルン音楽院、草津国際アカデミーなどでも教鞭をとりました。2005年にはESTA(European String Teachers Association)の最高責任者となり、2011年まで務めました。

彼女の商業録音は1965年のドヴォルザークの協奏曲とラヴェルのツィガーヌ(マーク指揮チェコ・フィル共演、DG)、1970年代録音と思われるブラームスのヴァイオリン・ソナタ全集(デムス共演、Darnok)、ヴァイオリン小品集(H.バルト共演、Classic Pick)、1988~89年のシューベルトのヴァイオリンとピアノのための作品全集(ホカンソン共演、Bayer)、1990年のレーガーの協奏曲(ハウシルト指揮シュトゥットガルト・フィル共演、Amati)、1991年のクラウスの協奏曲(ジークハルト指揮シュトゥットガルト室内管共演、Orfeo)くらいしかありません。今後も世界各地に残された彼女の放送録音の発掘、商品化を期待したいと思います。
(タワーレコード商品本部 板倉重雄)

カテゴリ : ニューリリース | タグ : ボックスセット(クラシック)

掲載: 2019年03月11日 00:00