WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.139
ジョニー・グリフィン『ザ・ケリー・ダンサーズ』(1962)
ジョニー・グリフィン(ts)
バリー・ハリス(p)
ロン・カーター(b)
ベン・ライリー(ds)
1961年12月21日、1962年1月5日、29日、ニューヨークにて録音
曲目:
01.ザ・ケリー・ダンサーズ
02.ブラック・イズ・ザ・カラー・オブ・マイ・トゥルー・ラヴズ・ヘアー
03.グリーン・グロウ・ザ・ラッシェズ
04.ザ・ロンドンデリー・エア
05.25 1/2 デイズ
06.オー、ナウ・アイ・シー
07.ハッシャ・バイ
08.バラッド・フォー・ムッシュ
【アルバム紹介】
1.名テナー奏者ジョニー・グリフィン、60年代初頭のワン・ホーン・カルテット作
2.アメリカやイギリスのフォーク・ソングなどのトラッドな楽曲をジャズ・アレンジ
3.バックはビバップ系の渋ピアニスト代表格バリー・ハリスらによる味わい深い演奏
ジョン・コルトレーンの『至上の愛』、チャーリー・ヘイデンの『リベレーション・ミュージック・オーケストラ』と、アルバムを通して、コンセプトやテーマ性を持ったジャズ・アルバムを取り上げてきましたが、今回もそんなアルバムです。非常に渋いアルバムでもあります。
名テナー奏者ジョニー・グリフィンの60年代初頭のワン・ホーン・カルテット作です。
本作の特徴は収録楽曲前半4曲は、アメリカやイギリスのフォーク・ソングなどのトラッドな楽曲を取り上げており、それをグリフィンがジャズ・アレンジした、ある意味ユニークなストレート・ジャズ作になります。 後半4曲は女性ピアニスト&コンポーザーのサラ・カッセイの2曲(5,8)、グリフィンのオリジナル(6)、そして有名なスタンダード“ハッシャ・バイ”という楽曲構成で聴かせます。
メンバーはビバップ系の渋ピアニスト代表格のバリー・ハリス、ベースにはまだ20代前半の若手だったロン・カーター、ドラムスは実力派のベン・ライリーという顔ぶれが揃い、味わい深い演奏で魅了します。
【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
“ダニー・ボーイ”の名でも知られる名曲“ザ・ロンドンデリー・エア”。
主役のジョニー・グリフィンはあだ名が“リトル・ジャイアント”と呼ばれ、小さい体からパワフルなプレイを放つ名テナーとして、シカゴ出身の人気サックス・プレイヤーの一人でした。
本作はトラッド・ソングをジャズ・アレンジし、自身のテナー・マンとしての魅力を十分伝えるものになっています。
そんな1曲が“ザ・ロンドンデリー・エア”。歌詞がついて“ダニー・ボーイ”の名でも知られる名バラードですが、グリフィンが歌心たっぷりのプレイでこの美メロを奏でており、ジャズ・サックスで聴く同曲の名演といえるものになっております。
こういった隠れた名演があることで、この『ケリー・ダンサーズ』というアルバムはジャズ・ファンにとっては、今でも人気の高い1枚です。また本作は1990年頃に当時音楽発信の中心だった人気CDショップWAVEで“Wave Jazz Classicsシリーズ”としてアナログ復刻され、多くの予約数を集めた大人気盤だったことで知った人も多いと思われます(初CD化はその翌年)。
補足ですが、8曲目の名スタンダード“ハッシャ・バイ”もグリフィンのテナー名演を堪能できる名演になっており、本作のハイライトの一つになっています。
国内盤SHM-CD(一般普及盤)
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掲載: 2021年08月06日 10:00