全曲初出!オスカー・シュムスキー『ライヴ・アット・バークリー』1980年ライヴ
全曲初出! シュムスキーのベスト・フォームを伝える1980年のライヴ
幼くしてスコトフスキーやアウアーに才能を認められるなど目覚ましい活躍をしたシュムスキーですが、その名声はアメリカ国内に留まり、1950年代後半からはソリストとしての活動よりも後進の指導や合奏団での演奏に時間を割くようになりました。転機となったのが1970年代にMusical Heritage Societyに行ったアルトゥール・バルサムとのモーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ全集と、バルサムの強い勧めで行ったバッハ:無伴奏ソナタとパルティータの録音で、これらが評判になると共にシュムスキーはソリストとしての活動を本格的に再開し、1981年のロンドン・デビュー・リサイタルの大成功によりヨーロッパでのキャリアがブレイクすることになります。
ここに収められたのは1980年1月に行われたコンサートのライヴ録音。一部の演奏ノイズ(主に譜めくりの音)と客席のノイズを除去した以外の編集はしていないとのことで、シュムスキーのライヴにおける実像を伝えてくれます。安定した技巧による流麗な演奏、フォルテや速いパッセージでも美感のある音、弛緩の無い造形感覚などは古典にうってつけですが、プロコフィエフでのモダンでユーモラスな表情も見事。翌年のヨーロッパでの成功の下地が整っていたことを実感させます。
ピアノのサザーランドは、その才能に目を留めた小澤征爾が、当時音楽監督を務めていたサンフランシスコ交響楽団に「首席ピアニスト」のポストを新設してスカウトしたという人物。シュムスキーとは親と子ほどの年の差がありながら、一体となったデュオを披露しています。
ヴァイオリン・ファンの間では、シュムスキーが1715年製のストラディヴァリウス「ローデ」を持っていたことが知られていますが、この録音で弾いているのはエンリコ・ロッカが1905年に作ったもので、ブックレットにカラー写真が4ページにわたって掲載されています。シュムスキーは1977年に試奏したこの楽器に一目ぼれして購入、その時々のコンディションによって「ローデ」と使い分けていましたが、どちらの楽器も素晴らしく響かせていたため、高名な演奏家や評論家でさえ違いに気付かなかったそうです。
ブックレットには更にシュムスキーの息子エリックの回想(英文3ページ)に加え、フィラデルフィア、ニューヨーク、ボストンのオーケストラに相次いで登場した1926/27シーズン(9歳)のシュムスキーの写真に、エフレム・ジンバリストとシュムスキーとのツーショット写真2枚(1931年撮影と1979年撮影)が掲載されているのもヴァイオリン・ファンにとっては貴重です。
※CD1枚に約89分の長時間収録となっています。
(ナクソス・ジャパン)
【曲目】
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685-1750)
1-4. ヴァイオリン・ソナタ ホ短調 BWV 1023(ピアノ・パート:A. ジロティ編)
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)
5-7. ヴァイオリン・ソナタ第9番 イ長調 Op. 47「クロイツェル」
セルゲイ・プロコフィエフ(1891-1953)
8-10. 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ Op. 115
ジュゼッペ・タルティーニ(1692-1770)
11-14.ヴァイオリン・ソナタ ト短調 「悪魔のトリル」 (F.クライスラー作のカデンツァ付き)
ベートーヴェン
15. ロマンス第2番ヘ長調 Op. 50
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)
16. ロンド ト長調 - ハフナー・セレナード K. 250より(F. クライスラー編)
【演奏】
オスカー・シュムスキー(ヴァイオリン)
ロビン・サザーランド(ピアノ)
【録音】
1980年1月25日(ライヴ)
カリフォルニア州立大学バークリー校、 アルフレッド・ヘルツ・ホール
総収録時間 約89分
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2023年05月10日 15:00