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WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.249

タイロン・ワシントン『ナチュラル・エッセンス』(1968)

TW

タイロン・ワシントン(ts)
ウディ・ショウ(tp)
ジェームス・スポールディング(fl, as)
ケニー・バロン(p)
レジー・ワークマン(b)
ジョー・チェンバース(ds)

1967年12月29日、ニュージャージーにて録音

曲目:
01.ナチュラル・エッセンス
02.ヤーニング・フォー・ラヴ
03.ポジティヴ・パス
04.ソウル・ダンス
05.エソス
06.ソング・オブ・ピース

【アルバム紹介】
1.ブルーノート・レーベルに残された、タイロン・ワシントンの23歳時の初リーダー・アルバム
2.フロントは3管のセクステット編成
3.フリーがかったもの、ほんの少しジャズ・ロック・テイストのあるものまで全曲オリジナル

テナー・サックス奏者が活躍する隠れ名盤、今回はブルーノート・レーベルに残された、タイロン・ワシントンの23歳時の初リーダー・アルバムを取り上げます。

タイロン・ワシントンは1944年にニュージャージーに生まれたテナー・サックス奏者で、本作に参加しているトランぺッターのウディ・ショウとは幼馴染みでした。ホレス・シルヴァーに見いだされて、アルバム『ジョディ・グラインド』に参加し、そこで、ウディ・ショウとアルト・サックス、フルートのジェームス・スポールディングとの3管のフロント陣を形成しており、本作でもまったく同じ3管のメンバーでの演奏が聴けます。

加えてピアノには若き日のケニー・バロン、ベースにはコルトレーン・カルテットで知られるレジー・ワークマン、ドラムスには気鋭のジョー・チェンバースというセクステットでの演奏になっています。
楽曲はすべてタイロン・ワシントンのオリジナルで、フリーがかったものからほんの少しジャズ・ロック・テイストのあるものまで、創意工夫が施された楽曲が揃っています。

【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
3管の大らかさが光るタイトル・チューン“ナチュラル・エッセンス”。

ブルーノートのアルバムは他のレーベルに比べ、オリジナル重視の選曲による名盤が多く、本作もそういった趣旨の一枚だと思ってよいでしょう。初リーダー作ゆえ、タイロン・ワシントン自身は相当な意気込みで臨んだはずで、そんなオリジナルが存分に聴けます。3管のフロントを生かしたセクステットの醍醐味をタイトル曲の“ナチュラル・エッセンス”で聴いてみましょう。
60年代終わりのジャズらしく、スイング・ビートではなく土着的な8ビートで攻めていく1曲で、テーマが3管のユニゾンで大らかに奏でられてゆきます。テーマを終えると、まずはテナー・サックスのソロが始まります。個性的なフレージングでちょっとコルトレーンを思わせるプレイを聴かせますが、途中から、少しフリーがかったプレイに発展してゆき、エモーショナルなブロウを繰り出してゆきます。続いてトランペット・ソロに移りますが、ツボを得たいいプレイを披露し、この後にピアノにソロが移り、リズムに同化する見事なソロを展開、やがてテーマに回帰します。
本作でリーダー・デビューを飾ったタイロン・ワシントンですが、その後のレコーディングは1974年を最後にぷっつり途絶えてしまい、宗教上の理由により演奏活動から身を引いてしまっています。それゆえに知る人ぞ知るテナーマンと呼ばれるに至っています。

国内盤CD

タグ : WEEKEND JAZZ

掲載: 2023年10月13日 10:00