ジャンルカ・カシオーリがフォルテピアノで弾くベートーヴェン: ピアノ・ソナタ第7番、第8番“悲愴”、第12番、ロンド Op.51-1
ベートーヴェンが思い描いた響きを求めて。カシオーリ、当時のウィーンの楽器を奏でる
1990年代半ば巨匠ポリーニに才能を見出され、DGやDECCAなどでの録音で注目されてきたジャンルカ・カシオーリ。現代作曲家として古典的な曲種のピアノ音楽も作曲する一方、演奏家としての幅広い関心は古楽器にも及び、来日公演や近年の録音ではヴァイオリンの庄司紗矢香とモーツァルトのソナタ群を、かの天才作曲家が晩年に弾いていた楽器に近いモデルのフォルテピアノで演奏し話題を呼んでいます。
そこで用いられたウィーンのヴァルター工房1805年モデルに基づくフォルテピアノを再現したのは、アレクセイ・リュビモフやロナルド・ブラウティハムら古楽器演奏に長じたプレイヤーたちからの信頼も厚い名工ポール・マクナルティ。
今回は同じ楽器を用い、モーツァルトの少し後に同じウィーンで活躍したベートーヴェン初期の傑作群に迫ります。
収録曲はどれも、作曲家が1803年にパリのエラール社製の楽器を知る前の作品ばかり。適切な楽器の選択もさることながら、現代楽器での豊かな演奏経験に裏打ちされた音楽性は、古楽器の響きの特徴を活かして作品本来の姿へと迫る上でもブレのない濃やかな音色表現で耳を惹きます。
ライナーノートに寄せられたカシオーリへのインタビュー(伊語、英語、仏語)でも明敏な洞察が随所に見られ、その誠実な解釈姿勢がよく伝わってきます。
(ナクソス・ジャパン)
【曲目】
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827):
1. ロンド ハ長調 Op.51-1(1796-97)
2-5. ピアノ・ソナタ 第7番 ニ長調 Op.10-3(1797-98)
6-8. ピアノ・ソナタ 第8番 ハ短調 Op.13「悲愴」(1798-99)
9-12. ピアノ・ソナタ 第12番 変イ長調 Op.26(1800-01)
【演奏】
ジャンルカ・カシオーリ(フォルテピアノ)
使用楽器: ウィーンのヴァルター&ゾーン1805年頃製作モデルに基づく、ディヴィショフ(チェコ)のポール・マクナルティ2009年製作の再現楽器(音域FF-c4)
【録音】
2022年5月25-31日、パチェット・トリネーゼ(イタリア北西部ピエモンテ地方トリノ県)
収録時間: 68分
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2023年12月22日 00:00