ケント・ナガノ&ハンブルク・フィル、他『ブラームス:ドイツ・レクイエム(1868年ブレーメン初演版)』SACDハイブリッド2枚組 2025年5月15日発売
祝祭的な雰囲気の中で行われた初演に迫り、「ドイツ・レクイエム」演奏の可能性を拓く
輸入盤SACDハイブリッド2枚組
輸入盤・国内流通仕様SACDハイブリッド2枚組
2015/16シーズンからブラームス所縁のハンブルク市の音楽総監督を務め、ハンブルク州立歌劇場とハンブルク・フィルの首席指揮者として高い評価を得ているケント・ナガノが名作ドイツ・レクイエムを録音。知性派の彼らしく、一般的な形での演奏ではなく、1868年4月10日のブレーメンでの初演を再現しようとしたものです。その初演は「聖金曜日の聖なるコンサート」として企画され、2,500人もの聴衆を集めました。その実態は、厳粛な雰囲気の中での上演というよりは、現地の市民を対象とした祝祭的なイベント・コンサートであったようです。
ブラームス自身の指揮の下、ドイツ・レクイエムの最初の3章が演奏され、次に盟友ヨーゼフ・ヨアヒムをソリストに迎えた小品3曲を演奏。その後にドイツ・レクイエムの残りが演奏されますが、後に第5章となる「このように、あなた方にも今は」はまだ書かれていなかったので演奏されていません。驚くのはその後で、バッハの「マタイ受難曲」の有名なアリア「憐れみたまえ、我が神よ」がヨアヒムの妻アマーリエのソロで歌われ、更にヘンデルのメサイアからの3曲が演奏されて最後はかの有名な「ハレルヤ・コーラス」で晴れやかに幕を閉じた模様(この録音ではモーツァルトのオーケストレーションによるドイツ語歌唱版を演奏)。演奏会終了後には、居酒屋に繰り出した聴衆も少なからずいたようで、死者への想いを胸に粛々と家路に着くといった趣とは異なっていたようです。
原盤解説では、このようなドイツ・レクイエムの「楽しみ」方を「開かれた作品」と呼んで、同曲が他のさまざまな作品と組み合わせて演奏されてきた歴史的事実も指摘されています。当録音に歌劇場の合唱団ではなく、教会やアマチュアの合唱団からなる混成部隊を起用したのも、市民参加型の祝祭的な性格を意識したのかもしれません。しかしアマチュア・ライクな演奏や明るく朗らかな解釈になることは決してなく、入念緻密な仕上げで知られるケント・ナガノの指揮の下、歌手にもヴァイオリン・ソロにも当代随一の演奏家を揃え、極めて完成度の高い演奏が展開されています。ハンブルク・フィルの重心の低いサウンドも曲の性格にふさわしく、ドイツ・レクイエムを愛する人ならば是非手許に置いておきたいアルバムです。
SACDハイブリッド・ディスクでのリリース。
※国内仕様盤には日本語解説と歌詞の日本語訳が付属します
(ナクソス・ジャパン)
【曲目】
【SACD1】
ヨハネス・ブラームス(1833-1897):
1-3. ドイツ・レクイエムより
1. I. Selig sind, die da Leid tragen 悲しんでいる人々は幸いである
2. II. Denn alles Fleisch, es ist wie Gras 人は皆草のごとく
3. III. Herr, lehre doch mich 主よ、我が終わりと、我が日の数の
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685-1750):
4. ヴァイオリン協奏曲 イ短調 BWV 1041 - アンダンテ
(T. コルネリウスによるヴァイオリンとオルガン版)
ジュゼッペ・タルティーニ(1692-1770):
5. ヴァイオリン協奏曲 変ロ長調 D 120 - アンダンテ
(T. コルネリウスによるヴァイオリンとオルガン版)
ロベルト・シューマン(1810-1856):
6. 小さな子供と大きな子供のための12の連弾小品 Op.85 - 第12番 夕べの歌
(J. ヨアヒム&T. コルネリウスによるヴァイオリンとオルガン版)
ブラームス:
7-9. ドイツ・レクイエムより
7. IV. Wie lieblich sind Deine Wohnungen 万軍の主よ、あなたの住まいは
8. VI. Denn wir haben hie この地上に永遠の都はない
9. VII. Selig sind die Toten 今から後、主にあって死ぬ死人は幸いである
【SACD2】
J.S. バッハ:
1. マタイ受難曲 BWV 244 - 憐れみたまえ、我が神よ
ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル(1685-1759):
2-4. メサイアより (W.A. モーツァルト編 K. 572)
2. Kommt her und seht das Lamm こちらに来て、小羊をみよ
3. Ich weiB, dass mein Erloser lebet
私の救済者が生きておられるのを私は知っている
4. Halleluja ハレルヤ
【演奏】
ケイト・リンジー(メゾ・ソプラノ)
ヨハン・クリスティンソン(バリトン)
ヴェロニカ・エーベルレ(ヴァイオリン)
トーマス・コルネリウス(オルガン)
クラングフェルヴァルトゥング合唱団
カペラ・ヴォカーレ・ブランケネーゼ
聖ニコライ聖歌隊
コンパーニャ・ヴォカーレ・ハンブルク
ハンブルク・フランツ・シューベルト合唱団
聖ペトリ・ハンブルク・バッハ合唱団
フォルクスドルフ青少年合唱団
カンティコ室内合唱団
ヴォーカルアンサンブル・コンソナンツ
イェルン・ヒンネルク・アンドレーゼン(合唱指揮)
ハンブルク・フィルハーモニー管弦楽団
ケント・ナガノ(指揮)
【録音】
2022年8月27-28日(ライヴ)
エルプフィルハーモニー・ハンブルク 大ホール
総収録時間:93分
SACD層: Stereo, Multi-Channel 5.0
カテゴリ : ニューリリース | タグ : 高音質(クラシック) SACDハイブリッド(クラシック)
掲載: 2025年04月03日 00:00