インタビュー

Vincent Gallo

俳優、監督をはじめ、多才なことで知られるヴィンセント・ギャロ。そんな彼が作り上げた初めての--- 驚くほど器用に組み上げられた---ソロ・アルバム『When』は<~の片手間で…>といった類の作品ではまるでなかった!


俳優、モーターレーサー…夭折した天才画家ジャン=ミシェル・バスキアと組 んでいた伝説的なバンド、グレイ…素晴らしく心に残る映画「バッファロー’ 66」の主役兼ディレクション…自分の服のラインを持ち、屈指のオーディオ・ マニア、カルバン・クラインのモデル…。
 ヴィンセント・ギャロは特別だ、特 別な人間のように思える。そして、イギリスのレーベル、ワープからリリース される彼のアルバム『when』も、特別な響きをもって僕たちの期待に応えてく れる。現在のポップ・ミュージックの流行とは無縁のようでありながら、モダ ンなその音楽世界は、独自で、いわく形容しがたい。それは「バッファロー’66」のように現実世界が容赦なく暴力的で、僕たちが受けなければならない罰が非道すぎるこの時代に生まれた繊細なアートだ。奇跡的だとさえ思える。彼の音楽はそうして耳に訴えかける力をもつ。必要以上に大きな音量もここでは必要ない。こけおどしも、ギミックも。アジテーションも。広告も。

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掲載: 2002年05月09日 14:00

更新: 2003年03月07日 18:04

ソース: 『bounce』 224号(2001/8/25)

文/荏開津 広