Jay-Z(3)
最強のラッパーが見せる余裕の〈等身大〉
もちろんジェイ・Zは、これまでのアルバム・タイトルにあらわれているように、 作品に自分の人生を投影しなかったことはない。
たとえば、デビュー・アルバム『Reasonable Doubt』には、 業界を知る以前のストリート・ハスラーとしての彼がいたし、 そんな彼も続く2枚目の『In My Lifetime, Vol. 1』では業界に足を突っ込み、 『Vol. 2... Hard Knock Life』を経て、『Vol. 3 Life And Times Of S. Carter』を出すころには、 業界の頂点の座に収まっていたのである。つまり彼は、 件の『Roc La Familia The Dynasty』で表現方法に変化をつけた、ということになる。 このあたりの流れを踏まえれば、タイトルがもつもうひとつの意味もすぐに理解できるだろう。 いわく「この業界内のラッパーたちにとっての〈Blueprint〉」。
『The Blueprint』は、ラップ・ゲームの〈綿密な計画〉を描き、それを実現し、王座に鎮座ましますジェイ・Zが、 その絶対的な自信と余裕から、これまででもっとも等身大に近い姿を見せて、 〈こんな俺にいったいどこの誰が勝てるのか〉と言わんばかりのアルバムなのだ。 彼はデビュー以来、アルバムを1枚リリースしたらヤメると言い続けてきた。 今回の『The Blueprint』ができあがった瞬間、いったい彼はなんと口走ったのだろうか?
ジェイ・Zのアルバムを紹介。
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カテゴリ : インタビューファイル
掲載: 2002年05月09日 15:00
更新: 2003年03月07日 17:52
ソース: 『bounce』 226号(2001/10/25)
文/小林 雅明