インタビュー

そのキャリアを通じて証明してきた実力──ゲームはジェイ・Zを中心に廻っている!!

 ジェイ・Zのアルバム・キャリアをサウンドの点から大別すると、 ほぼアルバム2枚ごとに第1~3期という具合に三分することができる。 まず第1期は、〈ブルックリンズ・ファイネスト〉という面を強く印象づける、 正統派のプロダクションが中心。 オーソドックスかつ歯切れのよいトラックメイキングを手掛けたのは、 DJプレミアやスキー、クラーク・ケントたちだ。

 続く第2期の幕開けとなった『Vol. 2... Hard Knock Life』ではいよいよ彼のギアがトップに入り、 “Lobster & Scrimp”のティンバランドや、“Jigga My Nigga”のスウィズ・ビーツなど、 旬のプロデューサーの旬のビートとともに夜ごとフロアを揺らす〈ジガ〉の天下となった。 流行の冷める前に確実に楽曲にするというリリース・ペースは他の追随を許さず、 バウンス・ビートなど変則トラックへの対応力も含めて、基礎体力の違いを思い知らされた。 トレンドセッターかというと疑問もあるが、トレンドを先頭で引っ張る存在であったことは間違いない。

 そして第3期となる近作では、また打って変わって、リスニングをも重視したと思しき音世界。 ネプチューンズと組んだ“I Just Wanna Love U”などこそフロア・ヒットを意識しているものの、 リック・ロック、ジャスト・ブレイズ、ケイン・ウェストらといった、 大物感はないものの作品数はそれなりに残していた中堅どころを制作のキモに据えて、 リリックの〈泣き〉と呼応させている。これは破竹の勢いで王朝を築いてからの後日談、 主役の風格を見せる芸風へのシフト・チェンジを意味するのか?


ジェイ・Zのコネクション/コラボレーション盤を紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2002年05月09日 15:00

更新: 2003年03月07日 17:52

ソース: 『bounce』 226号(2001/10/25)

文/一之木 裕之

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