インタビュー

ブラック・ボトム・ブラス・バンド

BLACK BOTTOM BRASS BANDと上田正樹、〈BLACK BOTTOMなグルーヴ〉を知り尽くした両者がニュー・アルバム『Spiral』でがっぷり四つの好バトル。そんなアルバムの延長戦、大人数インタヴューをお届け!!

 強烈な一発をお見舞いされた、このBLACK BOTTOM BRASS BAND(以下、BBBB)が上田正樹と組んだアルバム『Spiral』。音の塊の大きさは近来稀に見るほどのもので、ぐちゃっと有機的に混じりあったソウルが、スタートボタンを押せばごろんと転がり出してくる。今回、そんな充実作を作り上げたメンツが揃っての対談。上田が煎れてくれたお茶をすすりながら話はスタート。

一個のファットなものを作ろう!!


──彼らのライヴへ行って、そこで知り合われたんですよね?

上田正樹「めちゃくちゃインパクトあったよ、BBBBを初めて観たとき。日本人がファンクとかリズム&ブルースをやるときって、だいたい形から入る。だから実際のところ、〈黒人音楽研究会〉みたいな音楽が多いのよ。そういうのすごく嫌いでね。で、彼らにはどこか〈ちぎれた〉部分っていうのを感じて、〈これはおもしろいな!〉って」

KOO(トランペット)「〈研究会〉って名乗れるほど、僕らは音楽に詳しくないっていうのはあるよな(笑)」

上田「そのくらいのほうがええんやって。彼らはあきらかに次の世代だし、狭い国の中で終わってほしくない。これからはもっとボーダレスにならなあかんのに、この国はいつまでたっても鎖国をしているような感じで、黒船が来たら〈ウワ~、すごい!!〉みたいなことをやってると思うのよ」

──共演するにあたって、世代のギャップなどを感じたりはしなかったのですか?

上田「僕はけっこう歳行ってるけど、プレイするときにはそんなこと忘れてるんで。やっぱり、〈一個ファットなものを作ろう!!〉っていう意識さえあれば、それでいいと。なんて僕が思てるだけで、他のみんなは〈なんや、このオッサンは?〉って言うてるかもしれん(笑)」 

MONKY(アルト/バリトン・サックス)「オッサンは見慣れとるから、そんなん意識せえへんな。もともと僕ら、オッサンに好かれるバンドやから」

上田「そういうとこあるな(笑)。オッサン度数ごっつ高いもんな」

MONKY「若い人らと絡むときはナチュラルな感じで接せられるけど、うんぬんかんぬんの御託がないと物足りないってところは確かにある」

上田「わかるなそれ。やっぱりね、みんなジャズやファンクが好きで、そのすごさをよく知ってんのよね。それって年齢関係ないことだから」

KOO「よう思うんですけどね、僕らが50歳とかになるじゃないですか、そのときに若い人といっしょに演れるのかって……」

上田「イメージできひんやろ? 自分がみんなぐらいの年齢のとき、いまの俺ぐらいの人の言う話なんか聞いてなかったもん。〈このオッサンと話しできひん〉って」

YASSY(トロンボーン)「逆に外国とか行ったら、(年齢は)もっと関係なくなりますからね。お年寄りや子供でも同じ音楽を共有できて楽しめるから。気にならないですね」    
            
MONKY「でも、こんなデッカイ家(この取材は上田邸にておこなわれた)に住んでんのみると、どんな歳の取り方をしてきたか、気になってくるなぁ」(一同爆笑)

上田「借家や、借家。なんでそんなこと言わなあかんねん(笑)」

*BBBBのアルバムを紹介。左から、96年の『BLACK BOTTOM BLASS BAND』、97年の『MEET UP ON THE STREET』、98年の『NEW ORLEANS MAGIC』(全てポニーキャニオン)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2002年05月30日 14:00

更新: 2003年03月03日 22:34

ソース: 『bounce』 232号(2002/5/25)

文/桑原シロー