ブラック・ボトム・ブラス・バンド(2)
8人の個性が奏でる音塊
──このアルバムを聴き終えたとき、無性に切なくなったんですよ。なんか、お祭りが終わったあとのような気分に包まれたんです。余韻の味わい深さでいえば、これまでで最高の作品じゃないのでしょうか。去りゆく、また消えゆくものの情感まで描き出されているというか。
上田「わかるな、それ。俺も感じたわ」
──当初このコラボレーションは、ギトギト、コテコテ感が強くなるんじゃないかと予想していました。しかし、柔らかさが前面に出た、まろやかな手触りのアルバムになってます。
上田「BBBBがレコーディングしてる〈キンシャサスタジオ〉って、修理工場みたいなとこでね。正味な話、歌録りは普通、ブースに入ってやったりするでしょ。でもブースなんてないから、みんなで一斉にワーって音を出してやるっていう。そんなんはこれまでで初めてやな。そういう意味で、むちゃくちゃライヴ」
YASSY「ほとんどワンテイク。〈もうええやろ〉の一言で終了(笑)」
──上田さんの歌を傍で聴いていて、いかがでしたか?
上田「俺はおらんほうがええね」
KOO「(笑)録るときは、みんなで輪になっとって、僕は彼の横でトランペット吹いとったんですよ。なんていうんやろ、気迫が伝わってきましたよ。実際はそれぞれの音がデカイから、ちゃんと歌が聞こえるわけない。でもね、ヴァイブレーションっていうのがビシビシとね」
OJI(スネア・ドラム)「歌が聞こえてくるっていうんじゃなくて、やっぱ感じる」
YASSY「雰囲気っていうか、熱が伝わってくるんですよ。でもけっこう作業はシンドかったな。レコーディング終わったときは、みんなヘトヘトになってて」
KOO「飲んだくれとったってのもあるけどな(笑)。ビール買い込んで」
MONKY「これまでは、イメージ用意して、構成考えて、いろいろ当てはめながら作ってたところがあった。でも今回は、〈みんなが作ってきた曲を全て入れる〉っていうシンプルなテーマでやったから、それぞれのカラーが勝手にヴァリエーションを生んだ。昔は、〈日本におらへんバンドやから、セカンドライン的なものをバン!と見せなあかん〉って意識はあったと思う。特殊さをアピールするような意地が働いて、力んでたとこはあった」
──でも今回は、みなさんの日記的なアルバムになっています。
KOO「一人一人のパーソネルを持ち寄ってるぶん、そういう個性が出てるんでしょうね。こんだけの人数がおるし(笑)」
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