インタビュー

Primal Scream

プライマル・スクリームの最新アルバム、最新のロックンロールがやって来る。ドキドキする。それはもの凄いスピードで炸裂し、リスナーをノックアウトするだろう。準備ができたら呼んでほしい。そのタイトルは『Evil Heat』!!


PHOTO:MITCH IKEDA

  プライマル・スクリームは期待されてる。まずはロックンロールだ、それと……。 プライマル・スクリームが〈どんな話をするのか〉は、プライマル・スクリームが 〈どんな踊り方をするのか〉と同じくらい興味を惹く。彼らは7枚目の……新しいアルバム『Evil Heat』でどう振る舞ってるのか?

「(〈あなた方は無邪気だ、違うか?〉という問いに)どうかな。説明するのは難しいんだけど、プレイしてるときには緊張感が常にあるから、無邪気じゃない。セクシーなロックンロールなんだ、無邪気ではないよ。もちろん楽しんでるのはたしかだけど、無邪気ってのは違う」(ボビー・ギレスピー、ヴォーカル)。

わかったよ、無邪気でないロックンロール……。では、無邪気でないパンクは? アナーキズムは? この返答はどうだろう? 馬鹿馬鹿しかったかもしれないが、こんな質問をした──あなた方のファンの若い有権者に、次は選挙に行け、と言ってくれないか……?

「自分で決めるべきことだと思うけど。俺は、国民が投票しないのも彼らなりの主張だと思うよ。(問題は)それを理解できる感受性が政治家にあるかどうかだ。得票が過半数割れしても、奴らはそれが国民の支持だと思って、合法的にいろんなことをやる。実際やってることはギャングだ」(ボビー)。

僕はプライマル・スクリームを無邪気だと思ってる。彼らの85年のデビュー・シングル“All Fall Down”から数えて17年のキャリアを考えたなら奇跡的な……いってみれば、いまだに中学生の坊主みたいなパンク・アティテュードは(奇跡的。だって……セクシーだしね!)、だからこそ、この世界に楔を入れる、勇猛に。2000年の1月、音の届く範囲をくまなく、完璧に吹き飛ばした前作『Xtrmntr』は、その衝動……怒りと速度(それをパンクと言いたいわけなのだけれども)がパンパンに充填され、まったく生やさしいものじゃなかった。それこそ無邪気な言いぐさがここで許されるなら、それは音のテロリズムだった……いまではそんな形容に誰も頷いてほしくはないけれども。プライマル・スクリームは、たぶん適当ではないやり方を慎んだ。彼らの新しいアルバムでは、〈9.11〉より以前の曲“Bomb The Pentagon”が“Rise”として生まれ変わってる(もっとも、その曲はなんだか、P.I.Lみたいに響くのだけれど)。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2002年06月27日 12:00

更新: 2003年02月13日 12:31

ソース: 『bounce』 233号(2002/6/25)

文/村松太カヒRAW