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インタビュー

エゴ・ラッピン

数多のイメージを魅せる、特別でオリジナルな音楽──通算3枚目のフル・アルバム『Night Food』を携え、心から尊敬できる演奏家たちと共に繰り広げる、EGO-WRAPPIN'約1年ぶりのショウ・タイムの幕開け!!


「上品な音楽もたくさんあるし、下品なだけのものもある。でも、上品でなおかつ下品なモノってなかなかないんですよね」。

インタヴューを終えて、うだうだと話しているときに、森雅樹(ギター)がポツリと呟く。そうなんだ、EGO-WRAPPIN'を初めて耳にしたときから、ずっと感じていた異物感──それは他のどんな音楽とも異なる刺激という意味で──の理由は、この〈上品で下品〉な音楽だから。それを洗練と野蛮なんて気取った言葉で置き換えてもいいのだけれど、とにかく彼らはどこまでも粗野で、そしてどこまでもジェントルに音に対峙し続ける。例えばデューク・エリントン楽団のスタイリッシュかつドラッギーでアシッドな匂い、例えばジャンゴ・ラインハルト&ステファン・グラッペリの流麗かつ悪魔のような響き……優れた先人たちは多くのモノを摂取してその場所に辿り着いたわけだけど、中納良恵(ヴォーカル)と森雅樹は、日常の空気を大きく吸いこみながら、彼の地へとゆっくりと歩幅を縮めていく。

「(戦前ジャズとか)僕ももちろんそういう音が好きで、自分の音楽的なイメージとか音楽に対する姿勢とか、影響される部分ってあるんですけれど。それを昭和歌謡とか言われても……ちょっと違うんですよ。僕らは何かのキャッチ・フレーズを求めているわけではないし、僕なりのオリジナルをもっとええ感じでできへんかなぁと思って音楽やってるわけで」(森)。

「例えば、ハーバートっているじゃないですか。彼はすごくクラシカルな人やと思うんです。ちょっと狂っているけれど、あの品の良さがすごく好き。ドラマを持っているし。何か、人間模様とかじゃないけれど、そういうのが音楽から見えてしまうのがすごいなぁと。聴くのも好きやし、そういう音楽をやるのも好きやし」(中納)。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2002年07月25日 12:00

更新: 2003年02月13日 12:16

ソース: 『bounce』 234号(2002/7/25)

文/小田 晶房