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インタビュー

エゴ・サウンドの滋養となった海外ミュージシャンたち

そもそもEGO-WRAPPIN'というバンド名のきっかけのひとつには、デ・ラ・ソウルのサード・アルバム『Buhloone Mind State』に収録のシングル“Ego Trippin'”があり、そこには森雅樹のヒップホップへの愛情が込められている。そして彼らが所属するレーベル名であるMinor Swingは戦前から主にジャズ畑で活躍した流浪のギタリスト、ジャンゴ・ラインハルトの曲名でもあり、同曲を収録した『Djangology』を聴けば森雅樹の渋みに満ちたギターのルーツを辿れるはず。ロックステディの至宝シンガー、アルトン・エリスが2001年の来日時にデタミネーションズ他の日本人ミュージシャンとレコーディングしたミニ・アルバム『Lovely Place』でも、そんな森のギター・プレイが味わえる。

ジャマイカ繋がりでは、トリビュート作品『Ska Stock』でも“Blue Sunday”をカヴァーしていたスカタライツの影響も外せない。同曲のオリジナルを収録した『Foundation Ska』で色褪せることのないオーセンティック・スカの魅力を感じてほしい。また、ライヴで中納良恵がしばしば手に持つ小型のアンティーク・ランプは、トム・ウェイツが88年のミュージカル風ライヴ映画「Big Time」で使用したアイテムにヒントを得たものであり、そこにはもちろんスモーキーかつムーディーなブルース・シンガー、トムへのシンパシーが。ライヴではさまざまなミュージシャンと共演してきた彼らだが、なかでも土埃の舞うアメリカン・ロード・ソングを全く新しい感性で奏でるキャレキシコとのカップリングは、戦前ジャズからヒップホップまでを横断するEGO-WRAPPIN'の刺激的なハイブリッド性をあらためて浮き彫りにするものでもあった。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2002年07月25日 12:00

更新: 2003年02月13日 12:16

ソース: 『bounce』 234号(2002/7/25)

文/内田 暁男