インタビュー

Justin Timberlake(2)

表現したい音楽がたまっていた

81年、メンフィスに生まれたジャスティンはイン・シンクの最年少メンバー(最年長のクリスとは何と10歳も離れている)にして音楽的牽引者である。ディズニー・チャンネルのTV番組「Micky Mouse Club」に12歳から出演し、後にグループを組むJCや後にイロイロあるブリトニー・スピアーズともこの時出会っている。番組卒業後、JCらと共にイン・シンクを結成し、97年に『'N Sync』をドイツでリリース。翌年に凱旋し、全米リリースされた同作はジワジワと人気を集め、最終的には100万枚を突破。2000年の『No Strings Attached』は初週セールス240万枚という世界記録を打ち立てる。他愛のなかったデビュー作から飛躍的に進歩して、音楽的にもジャスティンのアーバン趣味が爆発、テディ・ライリーやシェイクスピアが起用されていた。そして2001年の『Celebrity』では先行カットの“Pop”をBTが、数年来の友人だったというネプチューンズが“Girlfriend”を手掛け、何よりジャスティンがほぼ全曲のソングライティング、“Gone”をセルフ・プロデュースするなど、話題にされない部分で驚異的なポテンシャルを見せだしたのだ。この流れを追ってみるとジャスティンがより自我を発揮できる方向へ進むのは必然だった。

「うん。俺の中にたくさん表現したい音楽がたまっていて、それを世界のリスナーとシェアするなら今だっていう感じがしたんだ。深い考えとかがあったわけじゃないけど、子供の頃からの夢だったからね、こういうことをやるのは。つまり、夢が叶ったっていうわけさ」。

彼のいう〈こういうこと〉とは、ひとりで歌うことか。それとも今回採用したような黒いサウンドで歌うことか。その両方だろうが、後者の見地に立っていえば、彼が影響を受けてきたアーティストを羅列するだけで、すんなり納得がいく。

「スティーヴィー・ワンダーはいつも俺のインスピレーション源になってるよ。それにダニー・ハサウェイ、マーヴィン・ゲイ、アル・グリーン、プリンス、マイケル・ジャクソン……そんな人たちの声のいろんなところを集めて、このヴォーカルがあると思う。それを考えると俺の歌い方がこうなったのにも納得してもらえるんじゃないかな? ソウル・ミュージックが大好きなんだ。古いソウルのレコードをたくさん聴いて、子供の頃からとにかくいつも歌ってたのさ」。

そんなジャスティンは初のソロ・アルバム『Justified』をこのように定義づけてくれた。

「これは70年代のロックと2002年のヒップホップ、オールド・ソウル、それに俺自身の個性をミックスしたものなんだ。そうやって独自のスタイルを作り上げられたと思う。個性的で楽しいパーティー・レコードになってるはずさ。このアルバムは完全に、絶対的に〈俺自身〉なんだ」。

『Justified』に参加したアーティストの作品

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2002年11月14日 12:00

更新: 2003年02月13日 12:08

ソース: 『bounce』 237号(2002/10/25)

文/出嶌 孝次