インタビュー

Justin Timberlake(3)

このアルバムは俺の誇りだ

アルバムの中身についても訊いておこう。今回ジャスティンは全曲の詞とメロディーを書き、共同プロデュースにも臨んでいる。トラックを手掛けたのは、何度目かの顔合わせとなるネプチューンズに加え、ティンバランドが参加! 現シーンのイノヴェイターであるこの2組がプロデュースを分け合ったアルバムなんて初めてだ。それだけでも興奮してしまうのだが、この驚異のマッチメークはどのようにして実現したのだろうか?

「ネプチューンズに関しては(片割れの)ファレル・ウィリアムズとずっと前からの友達で、俺の作りたい音に合うとわかってたから頼んだんだ。ティンバランドに関しては、非常に個性的で誰にも真似できないスタイルを持ってるクリエイターだから、絶対に組みたいと思っていた。ネプチューンズはメロディーやリリックについてもどんどん現場でいじっていくんだけど、ティンバランドはそうじゃなくて、もっとビートやアレンジなんかの周辺部分を作り込んでいくという感じなんだよね。でも、タイプは違ってもどちらも天才であることに違いはないな。彼らとスタジオで仕事ができるなんて、最高の経験さ」。

そんななか、ジャスティンのヴォーカルは1曲を除いてすべてワンテイクでOKだったというから驚く。また、クリプスやババ・スパークスといった人気ラッパーが贅沢に起用されているのも凄い。

「ヒップホップは大好きなんだ。ババとやった“Right For Me”には、とくに実験的な要素が含まれてるよ。凄くカッコイイ曲が作れたと思う。ババとはレコーディングの後にクラブに出かけていって、一晩めちゃくちゃ騒いだよ(笑)」。

ほかにもブライアン・マックナイトとの共作“Nothin' Else”など好曲の応酬なのだが、“(And She Said)Take Me Now”ではなんとジャネット・ジャクソンをデュエット・パートナーに選んでいる。

「デュエットをするためにデュエットするっていうのは好きじゃないんだけど、ジャネットとは自然なかたちでコラボレーションに至ったっていう感じだね。曲がデュエットによって活きてくるからデュエットした。そういうことなんだよね」。

クールな発言だが、ジャスティンはホンの数年前にはイン・シンクとして彼女の〈Velvet Rope Tour〉で前座を務めていたのだ。ここまで昇りつめてきたいま、彼は何を思うのか。

「俺という人間が送る人生のなかで、こんなアルバムができたことは誇りさ。今回のアルバムは、世界中に俺という個人を見てもらうチャンスだと思う。10年後に振り返って、〈あのときに俺は新しい一歩を踏み出したんだ〉って、そう言えることが誇りなんだよ」。

もし『Justified』を聴いて何かに立ち会っているような気がしたなら、それはきっとそうなのだ。

イン・シンクのワールドワイド・リリース作品

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2002年11月14日 12:00

更新: 2003年02月13日 12:08

ソース: 『bounce』 237号(2002/10/25)

文/出嶌 孝次