インタビュー

1995~2001年、ザ・ハイロウズという名の戦車が刻んだ走行記録

『THE HIGH-LOWS』ユニバーサルJ(1995)
現代のレノン/マッカートニーことヒロト/マーシー、バンドマンとして3周目に突入したその第一声。シングル“ミサイルマン”をはじめ、筋肉モリモリ毛がボーボーな演奏力のメンバーを得た、青春の刹那を粉砕するかのような和田勉の顔面力に匹敵するロケンローっぷりが壮快。ラストの名曲“日曜日よりの使者”は後にママ・ギタァがキュートにカヴァー。(フミ)

『タイガーモービル』ユニバーサルJ(1996)
深紫の“俺軍、暁の出撃”“相談天国”と、冒頭からエンジン全開!──なんて気の利かないライター並みのフレーズしか浮かびようのない、彼らのディスコグラフィー中もっともバーステストなアルバムといった趣。もし立川談志があと30歳若くて、落語ではなくロックンロールに目覚めていたらおそらくこういう作品を残していたであろうか。(フミ)

『ロブスター』ユニバーサルJ(1998)
松本人志作のザリガニ画が顔となってるこの作品、ロック・バンドのサード・アルバムとして正しくほどよいヴァラエティーが。遠慮なくメロディーと言葉が高揚する人気曲“千年メダル”を収録。“ブカブカブーツ”で聴けるモッド・マナーを通過したもんにしか醸し出せん黒さは、このバンドのスペシャリティーを証明するものとして案外重要。(フミ)

『バームクーヘン』ユニバーサルJ(1999)
いま聴くとアレ?と思うほど薄いサウンドだけど、それを補って余りある、熱気に満ちたロックンロールの連打また連打。ほとんどアップテンポの曲ばかりで、“罪と罰”“ハスキー(欲望という名の戦車)”など歌える名曲満載なのも嬉しい。とくにマーシーのギターのキレた激しさと、大島の鬼のようなドラミングが聴きもの。かなり無茶。(宮本)

『Relaxin・WITH THE HIGH-LOWS』ユニバーサルJ(2000)
確かに前作よりは静かな曲が増えたけど、〈リラクシン〉なんて言ってる場合じゃない激しさは相変わらず。1曲目“青春”の堂々たる名曲っぷりに参ってしまって、それ以降のややとっ散らかった印象も忘れるほどだが、全体の印象は静と動とのコントラストが見事って感じか。1曲たりとも似ていない、マーシーの曲の幅広さにあらためて唖然。(宮本)

『flip flop』ユニバーサルJ(2001)
これならばリラックスして聴ける、95~99年に出されたアルバム未収録曲を中心に編まれた裏ベスト。“相談天国”“日曜日よりの使者”“スーパーソニックジェットボーイ”など人気曲のシングル・ヴァージョンもいいが、いつのまにか埋もれてしまった名曲のなんと多いことか。オリジナル・アルバムと同じ価値アリ、と断言したい2枚組全23曲。おトク。(宮本)

『HOTEL TIKI-POTO』ユニバーサルJ(2001)
〈魅惑のチキ・ルーム〉から取ったという魅惑的なタイトルのもとに集まったのは、遊び心たっぷりのオトナのロック。いきなりオキナワンな“21世紀音頭”で始まり、ラテンやチャイニーズっぽさなど、そこはかとなくワールドワイドなテイストがサウンドに散りばめられているのは、偶然か必然か。ともかく、〈楽しい!〉しか感想が出ない。(宮本)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2002年11月28日 12:00

更新: 2003年02月07日 15:15

ソース: 『bounce』 238号(2002/11/25)

文/フミ・ヤマウチ、宮本英夫

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