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インタビュー

餓鬼レンジャー

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エゴとエロとをぶらさげて~♪ 韻にたっぷり包まれた~♪ ハァ~ひとたび聴いたら忘られぬ~♪(九州限定ネタ)とは福岡名物、餓鬼レンジャー。彼ら――4人のエロ猿たちによる大進撃第二章『DA-PONG』が、ついに完成!

ウラ筋の通ったカリ太アルバム


〈どいつもこいつもエゴエゴエゴ 俺もエゴだからエゴがおもしろい エゴだけじゃないぜエロエロエロ WILD WILD SOUTH 行くぞ助平〉――“THEME OF PUNCH DRUNKERZ”におけるPocyomkinのラップの一節でありますが……(レコード会社の紙資料の表紙にもこのリリックが大書きしてある)しょーもない。マジでしょーもない。だが、カッチョイイ。とんでもなくカッチョイイんだ、コレが。この、1秒で考えたような、しかし人生の大いなる指針にもなりかねない微妙かつ絶妙なフレーズが、ビートのあいだをウネり、駆け上がるとき、オレの全身は餓鬼レンジャーでしか味わえない電撃快感に貫かれる。毛穴は開き、睾丸はひっくり返る。

 しかし、餓鬼レンジャー待望のセカンド・フル・アルバム『DA-PONG』(←大傑作)の魅力は、もちろんそこ一点に集約されるような単純なモンじゃない。フリーキーにトバしまくるゲンゴ・ジェットコースター=Pocyomkin、それとは対照的に、韻にコダワリまくりながら、底知れぬ狂気世界をポジティヴに純粋に一歩一歩踏みしめて邁進するYoshiの男臭いラップも最高だし(UZI、三善/善三と同好の士3人で繰り広げる“韻バカ一代記”なんて濃ゆいのもアリ)、2人のDJ/プロデューサー、DJ HIGH SWICH a.k.a. HIROとG.P a.k.a. GREEN PEEACEが創り出す、独特の世界観を持つトンがったビート群の進化ぶりも素晴らしい(沖縄フレイヴァーも大胆な“ラップ王子さん”と“MAKE ME CRAZY”のみSUMICO作)。さらに大阪、東京、地元九州から参戦した多彩なゲスト・ラッパー陣の活躍にも瞳孔は開きっぱなしだ。そして、この表面的にはハチャメチャで雑多に過ぎる餓鬼ワールドを一挙にまとめあげ、ビシッ!と一本ウラ筋の通ったカリ太アルバムたらしめてるのは、やっぱ冒頭のフレーズで大炸裂してるエゴ&エロな指向性/嗜好性なんではなかろうか?とオレは痛感してる次第なんであります。思えばデビューEP『リップ・サービス』からこのスタンスはまったく不変なんだけどね(“シド&ナンシー”なんて、ああ……)。そんなんでエエのか!?という意見もあるかも知れない。が、そんなんでエエんです、たぶん。餓鬼レンジャーの場合は。つーか、エゴ&エロは、人間個人にとって最大/最高のアイデンティティー牙城。そこを解放するというコトがいかにピュアでデンジャラスで気持ちイイ行為か! 某出版社@神楽坂からいただいてきた大量のエロ本片手に『DA-PONG』聴きながら、オレはそんな妄想もする。餓鬼レンジャーはエゴエゴエゴでエロエロエロ。そして、オレもエゴエゴエゴでエロエロエロ。だから餓鬼レンジャーはおもしろいんではなかろうか、と。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2002年12月05日 15:00

更新: 2003年02月07日 15:10

ソース: 『bounce』 238号(2002/11/25)

文/萩谷雄一