インタビュー

驚異のカメレオン野郎、サラーム・レミ

 サラーム・レミに賛辞を送っているのはミスティークだけではない。それどころか、彼は現在過去最高のプロップを集めているのだ。もともとはNYをベースに、80年代後半からビズ・マーキーやシャバ・ランクスなど数多くのヒップホップ/レゲエ作品に携わっていたサラーム。彼の最初の大成功は、フージーズの“Nappy Heads”をリミックスして彼らにオーガニックな方向性を見い出させてから。彼らの傑作『The Score』(96年)の制作にも全面的に参加し、世界的ブレイクに寄与した。が、マイペースな彼はビーニ・マンやスプラガ・ベンツなどのレゲエ仕事で90年代後半を彩ることに。

 そんな彼に再度アッと言わされたのが、レフト・アイの発狂アンセム“The Block Party”、そして、ナズの決定的な名曲“Made You Look”だ。後者の『God's Son』では5曲を手掛け、なかでも〈インピーチ+エリーゼのために〉という奇抜なネタを肝の据わった手捌きでまとめた“I Can”は凄まじい。また、同年にはUKの新星=ミス・ダイナマイトを成功に導いており……つまり2002年に大西洋の両岸で最高レヴェルの評価を受けた作品はいずれもサラームによるものだったのだ。今回のミスティークとの顔合わせでも、その多才&奇才ぶりを如何なく発揮し、特にヤバいのは、ダンスホール流れで改めてUKガラージに辿り着いたような疾走ビートが凄い“Day Off”。組む相手によって自在に色を変える彼、〈カメレオン〉の異名はダテじゃない。

▼サラーム・レミの代表的なプロデュース作品。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2003年04月03日 12:00

更新: 2003年04月14日 22:34

ソース: 『bounce』 241号(2003/3/25)

文/出嶌 孝次

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