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インタビュー

ラテン~ルーツ・ミュージックはもはやハウスと不可分なエッセンスなのだ!!

 いまさらながらの話になってしまうが、ほんの味付け的なものまで含めれば、ハウスが生楽器の演奏を大きくフィーチャーし、そこにラテン・ミュージックのエッセンスを導入することはもはや珍しくはない(アフロもそうですな)。さすがに、真摯にルーツを遡ることの結果として力作を生み落としたMAW~ルイ・ヴェガのようなパターン、さらには精神性の部分もいっしょに導入しているかのようなスピリチュアル・ライフ~イバダン作品のようなパターンといったマジメ(?)な例ばかりでもないけれど、両方の音楽が持つグルーヴの共通性に面白味を見い出しているアーティストは数限りなくいます。御大フランキー・ヴァレンタインはコクのあるラテン・ハウスの傑作を放ったし、アナンダ・プロジェクトの新作をリリースしたばかりのクリス・ブランも言わずもがな。ジョン・ベルトランの近作もラテン・タッチでした。ほかにもヨーロッパだと、王道的な存在になったダ・ラータや、王道のガラージ・テイストからボサノヴァまで幅広いレパートリーを誇るバー・サンバ、新作をリリースしたばかりのディミトリ・フロム・パリ(・トゥ・ブラジルという名義になったりする)がいるし、日本だと大沢伸一やLAVAも、みずからの音楽性のなかにすでにラテンを血肉化させている存在です。まあ〈ラテン〉というシンプルな括り方がそもそも大雑把だし、ジャズやアフロも含めたルーツ・ミュージック全般をミックスして採り入れているというのが実際だと思うんですが……。

 そのあたりの大雑把さを多彩な方法論で採り込んだサウンドの旨味は〈Trip Do Brazil〉や〈Abstract Latin Lounge〉といったコンピ・シリーズで確認するのが早いかも。後者の最新作〈II〉には、クリス・ブランが暖かくリコンストラクトしたスヌーズの“Doremifa Girl”や、サンバ的放熱とチルなサウダージ感が交錯するMONDO GROSSO feat.パウラ・リマの“Life”など、本格的(?)なものから〈要素をつまみ食い〉したぐらいのものまで、ラテン風味のハウスが国籍を問わず収録されている快楽盤で必聴でしょう。

 と、このようにラテン音楽のケレン味がハウスという音楽の枠組や楽しみ方をどんどん拡げていってる現在、ルイ・ヴェガの『Elements Of Life』はその決定版として聴くこともできるのではないでしょうか。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2003年05月01日 12:00

更新: 2003年05月01日 18:57

ソース: 『bounce』 242号(2003/4/25)

文/高橋 玲子

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